エンディングノートに決まった書き方はなく、市販のノートでも自作でも構いません。基本の7項目リストと、そのまま使える自作テンプレートの構成、遺言書との法的な違い(民法の方式)までまとめました。
エンディングノートに決まった書き方はありません。市販のノートでも、手持ちのノートやパソコンでも書けます。まず「医療の希望」と「財産・連絡先の在りか」から書き始めるのがおすすめです。ひとつだけ注意があります。エンディングノートには遺言のような法的効力がないため、財産を誰に渡すかの希望は、民法の方式に沿った遺言書として別に残す必要があります。
この記事の要点は次の4つです。
- 書く順番は自由。全部埋める必要はなく、書けるところから始めてよい
- 基本の項目は7つ。この記事のリストを写せば自作テンプレートになる
- 暗証番号・パスワードそのものは書かない(在りかだけを書く)
- 財産の分け方の希望は、エンディングノートではなく遺言書に
エンディングノートとは
エンディングノート(終活ノート)とは、自分に万一のことがあったときに備えて、医療・介護の希望、財産や契約の在りか、葬儀やお墓の希望、家族への伝言などを書き残しておくノートです。
法律で定められた書式はなく、誰でも、いつからでも書けます。読む相手は、あなたが動けなくなったときの家族です。「家族が、あなたに聞けない状況で、あなたの代わりに判断する」場面を想像しながら書くと、何を書くべきかが見えてきます。
基本の項目リスト(自作テンプレート)
次の7項目が、エンディングノートの一般的な構成です。手持ちのノートに見出しとして写せば、そのまま自作テンプレートとして使えます。
- 自分の基本情報 — 氏名・生年月日・本籍地・マイナンバーカードや保険証の保管場所
- 医療・介護の希望 — 持病とかかりつけ医、飲んでいる薬、延命治療や告知についての希望、介護が必要になったときの希望
- 財産・契約の一覧 — 銀行口座(銀行名と支店名まで)、保険、年金、不動産、ローン、クレジットカード。暗証番号は書かず、「どこに何があるか」だけを書く
- デジタル関連 — スマホやパソコンの存在、加入中のサブスクリプション、SNSやネット口座の一覧。解約が必要なものに印をつける
- 葬儀・お墓の希望 — 形式(家族葬・一般葬・無宗教など)、呼んでほしい人、遺影に使ってほしい写真、お墓や納骨の希望
- 連絡先リスト — 万一のとき知らせてほしい親族・友人・勤務先と、その関係性
- 家族へのメッセージ — 感謝や伝えたかったこと。自由に
全部を一度に埋める必要はありません。書きやすいのは2と6です。この2つだけでも、家族が最初の数日で迷う場面をかなり減らせます。
ノートは市販品でなくても構いません。手持ちのノートに上の7項目を見出しとして書き写せば、それで自作テンプレートの完成です。自治体によっては終活支援の一環としてエンディングノートを窓口で配布している場合もあるので、お住まいの自治体のサイトで「エンディングノート」と検索してみると、無料で手に入ることがあります。
書くときの注意点
- 暗証番号・パスワード・印鑑の場所を1冊にまとめて書かない。盗難に遭うと全財産の地図になってしまいます。「通帳は自宅、詳細は長女に伝えてある」のように、在りかと人に分散させてください
- 日付を書く。ページごとに記入日を入れると、家族がどの情報が最新か判断できます
- 年1回見直す。誕生日や年末など、タイミングを決めておくと続きます
遺言書との違い|法的効力の境界線
ここがエンディングノートのいちばん大切な注意点です。
民法は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定めています(第960条)。普通の方式の遺言は自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類とされ(第967条)、たとえば自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書して押印する必要があります(第968条。財産目録はパソコン作成も可)。
エンディングノートはこの方式を満たさないため、「家を長男に渡したい」と書いても、遺言としての法的効力はありません。
| エンディングノート | 遺言書 | |
|---|---|---|
| 書式 | 自由 | 民法の方式に従う |
| 法的効力 | なし | あり(方式を満たす場合) |
| 書ける内容 | 医療・葬儀の希望、連絡先、メッセージなど何でも | 財産の分け方など法律で定められた事項が中心 |
| 書き直し | いつでも自由 | 可能だが方式に沿う必要がある |
出典: e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第960条・第967条・第968条
自筆証書遺言については、法務局が原本を預かる「自筆証書遺言書保管制度」があります。紛失や改ざんを防げるほか、相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが不要になる利点があると法務省が案内しています。
出典: 法務省「01 遺言書保管制度とは?」
なお、誰にどの財産をどう分けるかという相続の具体的な設計は、法律と税金の専門領域です。この記事では扱いません。弁護士・司法書士などの専門家か、お近くの法務局・公証役場に相談してください。
エンディングノートから始まる終活
エンディングノートを書くと、「決めていないこと」が目に見えてきます。お墓の希望欄で手が止まったら墓じまいや納骨の形を、持ち物の欄で手が止まったら遺品整理の進め方を、それぞれ元気なうちに調べておくと、ノートの続きが書けるようになります。
終活全体の進め方は、終活の始め方|やることリストと進め方ガイドにまとめています。
この記事の扱う範囲
この記事はエンディングノートの書き方の一般的なご紹介です。相続・遺言の法的な効力や税金の詳細は、個別の事情によって結論が変わるため、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に確認してください。
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よくある質問
エンディングノートに法的な効力はありますか?
ありません。民法は、遺言は法律の定める方式に従わなければすることができないと定めており(第960条)、エンディングノートはその方式を満たさないためです。財産を誰に渡すかの希望は、エンディングノートではなく遺言書に書く必要があります。エンディングノートは、医療や葬儀の希望、連絡先など「家族が困らないための情報」を残す道具と考えてください。
エンディングノートと遺言書はどちらを先に書くべきですか?
決まりはありませんが、書きやすいのはエンディングノートです。自由な形式で、鉛筆書きでも途中まででも構いません。書き進めるうちに財産の分け方について希望が固まってきたら、その部分だけを遺言書として法的な方式で作る、という順番が進めやすいです。相続の具体的な設計は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。
市販のエンディングノートを買わないとだめですか?
市販品でなくても構いません。ふつうのノートやパソコンの文書でも役割は果たせます。市販のノートや自治体が配布するノートは、記入欄があらかじめ用意されていて書き漏れを防ぎやすいのが利点です。この記事の項目リストを写して、手持ちのノートで自作することもできます。
書いたエンディングノートはどこに保管すればいいですか?
家族が見つけられる場所に保管し、置き場所を信頼できる人に伝えておいてください。誰にも知らせないままでは、いざというときに読まれずに終わります。ただし口座の暗証番号やパスワードそのものは、盗難や悪用のリスクがあるため書かないでください。なお、法的な遺言書は法務局の保管制度(自筆証書遺言書保管制度)を利用できますが、エンディングノートは対象外です。
エンディングノートは一度書いたら終わりですか?
書き直して使うものです。財産の状況、医療の希望、連絡先は年月とともに変わります。誕生日や年末など、年に1回見直すタイミングを決めておくと、内容が古いまま残るのを防げます。書いた日付をページごとに入れておくと、家族がどれが最新か判断できます。
出典