弔辞は、故人の死を悼む言葉・故人との関係・人柄への賛辞・遺族への言葉・結び、の5つの要素で組み立てます。長さは3分程度が目安。全葬連の解説に基づく構成の型と、そのまま下敷きにできる例文、避けたい忌み言葉をまとめました。
弔辞(ちょうじ)は、5つの要素 — 死を悼む言葉、故人との関係、人柄への賛辞、遺族への言葉、結び — の順に組み立てれば形になります。長さは3分程度、400字詰め原稿用紙3〜4枚が目安(全葬連の解説より)。うまく話す必要はありません。故人とのエピソードを1つ、自分の言葉で語れれば十分です。
弔辞を頼まれて、このページを開いた方へ。まずこの3点です。
- 構成は5要素の順番どおりに書けば崩れない
- エピソードは1〜2個に絞る。3分で読める分量に
- 「重ね重ね」などの忌み言葉を最後に点検する
弔辞を頼まれたら
弔辞は、葬儀・告別式で故人に別れの言葉を捧げる挨拶です。遺族が「この人に送ってほしい」と選んで依頼するものなので、特別な事情がなければ引き受けるのが望ましいとされています。どうしても難しいときは、遺族が別の方に頼み直せるよう、できるだけ早く伝えてください。
依頼を受けたら、次の3つを遺族か葬儀社に確認します。
- 式の宗教・宗派(使える言葉が変わります。後述)
- 持ち時間の希望(進行の都合で短めを頼まれることもあります)
- 弔辞を読む人数(複数いる場合、内容の重複を避ける相談ができます)
弔辞の構成|5つの要素
全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)の解説では、弔辞は次の要素で構成するとされています。
| 順番 | 要素 | 書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 出だし | 故人の死を悼む言葉。呼びかけから入る形も多い |
| 2 | 故人との関係 | 出会い、付き合いの長さ、どんな間柄だったか |
| 3 | 故人への賛辞 | 人柄・功績を、具体的なエピソードで |
| 4 | 遺族への言葉 | 慰めと励まし |
| 5 | 結び | 別れの言葉で締めくくる |
この型の中心は3番目のエピソードです。「優しい人でした」と形容するより、「後輩が終電を逃すたび、黙って車を出してくれました」のように、その人にしか語れない場面をひとつ置く。聞いている親族が「ああ、あの人らしい」と思える具体性が、弔辞の価値になります。
長さの目安は3分
全葬連の解説では、弔辞の長さは一般的に3分程度が目安とされ、400字詰め原稿用紙3〜4枚程度におさまるようにと案内されています。
書き上げたら、必ず声に出して時間を計ってください。目で読むより、声に出すと長く感じます。3分を大きく超えるようなら、エピソードを削るのではなく、状況説明の部分を削ると、話の芯を残したまま短くできます。
例文
下敷きにできる例文を2本用意しました。名前・エピソードを入れ替えてお使いください。
友人代表の例文
〇〇君。君とこうして最後の別れをすることになるとは、いまも信じられない思いです。
君と初めて会ったのは高校の入学式でした。以来四十年、就職も結婚も、人生の節目にはいつも君がいました。三年前、私が入院したときには、誰より先に病室に顔を出して、「暇だろう」と将棋盤を置いていった。あの不器用な優しさに、どれだけ救われたかわかりません。
ご家族の皆様のお悲しみを思うと、かける言葉もありません。ですが、君が家族を何より大切にしていたことを、私たちはよく知っています。
〇〇君、長い間、本当にありがとう。どうか安らかに眠ってください。
職場の代表として読む例文
謹んで、〇〇部長のご霊前に申し上げます。
部長は、入社したばかりで右も左もわからなかった私に、仕事のいろはを教えてくださった方でした。ミスをした部下を決して人前で叱らず、別室で「で、どう挽回する」とだけ問う。その一言に何度も背筋を伸ばされました。部長に育てられた社員は、私だけではありません。
ご家族の皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。部長から受け継いだものを、私たちがこれからの仕事で形にしてまいります。
〇〇部長、長い間お疲れさまでした。どうか安らかにお眠りください。
どちらの例文も、宗派を問わず使える表現でまとめています。
避けたい言葉
弔辞にも、口頭のお悔やみと同じ言葉の慣習があります。全葬連の解説で挙げられている忌み言葉・重ね言葉は次のとおりです。
- 不幸の繰り返しを連想させる言葉: 再び、繰り返す、くれぐれも
- 重ね言葉: 度々、重ね重ね
- 直接的な表現: 「死んだ」は「ご逝去」「旅立つ」などに言い換える
また、「ご冥福」「成仏」「天国」のような宗教観を含む言葉は、式の宗派によってはなじみません。仏式・神式・キリスト教式で使い分けるより、例文のように「安らかにお眠りください」でまとめるほうが、どの式でも安心です。言葉選びの詳細はお悔やみの言葉一覧も参考にしてください。
紙と包み方
小さなお葬式の解説では、正式には奉書紙(ほうしょがみ・古くから公文書に使われてきた白い和紙)か巻紙に、薄墨の毛筆で縦書きにするとされています。一方で、形式を重んじる場でなければ便箋でも問題なく、パソコンでの印刷も差し支えないとされています。
書いた弔辞は、包紙か封筒に包んで持参します。むき出しのまま持ち歩くのは避けてください。表には「弔辞」と書きます。
当日の読み方
- 司会に名前を呼ばれたら席を立ち、遺族に一礼する
- 祭壇の前に進み、遺影に一礼する
- 弔辞を包みから取り出し、ゆっくり、はっきりした声で読む
- 読み終えたら、祭壇から見て正面になる向きで弔辞を祭壇に供える
- 遺影と遺族に一礼して席に戻る
うまく読もうとしなくて大丈夫です。声が詰まっても、誰も失礼とは受け取りません。ゆっくり読むことだけ意識してください。式全体のなかで弔辞がどのタイミングにあるかは、葬儀の流れで確認できます。
宗派・地域・式の形式による違い
弔辞の作法や言葉の選び方は、宗派だけでなく、地域や式の形式(無宗教式・お別れの会など)によっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、式を担当する葬儀社に確認するのが確実です。
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よくある質問
弔辞はどのくらいの長さで書けばいいですか?
全葬連の解説では、3分程度が目安とされ、400字詰め原稿用紙で3〜4枚程度におさまるようにと案内されています。長い弔辞は式全体の進行にも影響します。伝えたいエピソードを1つか2つに絞るのが、まとめるコツです。
弔辞はパソコンで書いて印刷してもいいですか?
毛筆の手書きが正式とされていますが、小さなお葬式の解説ではパソコンで印刷しても問題ないとされています。読みやすさを優先して構いません。形式より、当日落ち着いて読み上げられることのほうが大切です。
弔辞を頼まれたら断ってもいいですか?
弔辞の依頼は、遺族があなたを故人の親しい人として選んだということなので、特別な事情がなければ引き受けるのが望ましいとされています。体調や気持ちの面でどうしても難しい場合は、できるだけ早く遺族に伝え、別の方に依頼する時間を残してあげてください。
読み終わった弔辞はどうなりますか?
読み終えたら、祭壇から見て正面になる向きで祭壇に供えるのが一般的な作法とされています。持ち帰るものではないため、手元に残したい場合は控えを取っておいてください。
弔辞で「ご冥福をお祈りします」と言ってもいいですか?
仏式では広く使われますが、神道では使わないとされ、浄土真宗でもなじまないとされることがあります。式の宗派がわからない場合は「安らかにお眠りください」「心よりお悔やみ申し上げます」のような表現を選べば失礼になりません。
出典