のし(熨斗)は、祝儀袋やのし紙の右上にある飾りで、もとは縁起物の熨斗鮑を簡略化したもの。慶事に付け、弔事には付けません。のし紙・のし袋・掛け紙の呼び分けと、内のし外のしの使い分け、付けない場面まで整理します。
のし(熨斗)は、祝儀袋やのし紙の右上にある小さな飾りのことです。もとは縁起物「熨斗鮑(のしあわび)」を簡略化したもので、慶事(お祝い)にだけ付け、弔事には付けません。品物に掛ける紙が「のし紙」、お金を入れる袋が「のし袋」、そのうち飾りのない水引だけのものを含めた総称が「掛け紙」です。
贈り物を注文したら「のしはどうしますか、内のしと外のしのどちらに」と聞かれて、手が止まった。そんなときのためのページです。「のし」という言葉は、右上の飾りだけを指すこともあれば、水引や紙全体をまとめて指すこともあり、そこで混乱が起きます。まず全体像を整理します。
このページで押さえる5点です。
- のし=祝儀袋・のし紙の右上にある飾り。慶事にだけ付け、弔事には付けない
- 世間では水引を含めた掛け紙・袋全体を「のし」と呼ぶが、厳密には右上の飾りだけを指す
- 内のし=控えめ・配送向き/外のし=手渡し・贈る目的を見せたいとき(厳密なマナーはない)
- お見舞い・弔事・生ものには付けない
- 由来は縁起物「熨斗鮑(のしあわび)」
このページは「のし」という飾りと言葉の全体像に絞っています。どの袋を選ぶかは、慶事ならご祝儀袋の選び方、弔事なら香典袋の選び方へ。中央のひも「水引」の結び方は水引の種類と意味で解説しています。
「のし」とは、右上の小さな飾りのこと
のし(熨斗)は、贈答品の掛け紙やお祝いのお金を入れるご祝儀袋の、右上にある飾りを指すとされています(jpnculture.netの解説より)。紅白の紙を細長い六角形に折り、中に黄色い細い紙をはさんだ形が基本です。この黄色い部分が、後で述べる熨斗鮑を表しています。
出典: Japan Culture Lab「熨斗(のし)の意味とは?熨斗紙・熨斗袋の種類と書き方」 https://jpnculture.net/noshi/
大事なのは、のしが「慶事のしるし」だという点です。お祝いごとの贈り物には付け、弔事には付けません。弔事で水引だけの紙を使うのは、のしが縁起物だからです。
言い換えると、右上に飾りがあれば慶事用、なければ弔事用という見分けができます。売り場で袋を手に取ったら、まず右上を確認してください。
「のし紙」「のし袋」「掛け紙」——言葉を整理する
同じ「のし」でも、紙なのか袋なのか、飾りが付いているのかで呼び方が変わります。ここが迷いどころなので、表で整理します。
| 言葉 | 何を指すか | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| のし(熨斗) | のし紙・のし袋の右上にある飾りそのもの | 慶事の贈り物・お祝い |
| のし紙 | 水引とのしを印刷した、品物に掛ける紙 | 慶事の進物 |
| のし袋 | 水引とのしが付いた、お金を入れる袋(ご祝儀袋) | 慶事のお祝い金 |
| 掛け紙 | 品物に掛ける紙の総称。のしのない水引だけのものも含む | 慶事・お見舞い・弔事すべて |
掛け紙には、熨斗と水引を印刷した「のし紙」と、水引だけを印刷したものがあります。一般の贈答や慶事にはのし紙を使い、お見舞いや弔事にはのしの付いていない掛け紙を使うと案内されています(おくる(okuru-gift)の解説より)。
出典: おくる(okuru-gift)「熨斗(のし)とは?贈り物のシーンや用途に適したのし紙・掛け紙の種類と選び方。」 https://okuru-gift.jp/blogs/content/about_noshi
「のし」と呼ぶ範囲がずれている
店頭やネットの注文画面では、右上の飾りだけでなく、水引や紙全体をまとめて「のし」と呼ぶのが通例です。「のしを付けますか」と聞かれたときの「のし」は、たいてい掛け紙全体を指しています。
このズレは、実務では困りません。弔事の品に飾り本体は付かなくても、「弔事用ののしで」「香典返しです」と伝えれば、のしのない正しい掛け紙を用意してもらえます。厳密な言葉と、店で通じる言葉の両方を知っておけば、どちらで会話しても外しません。
内のし・外のし——のし紙を掛ける位置
品物に掛けるのし紙は、包装紙の内側に掛けるか外側に掛けるかで呼び方が変わります。
| 種類 | 掛ける位置 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 内のし | 品物にのし紙を掛け、その上から包装紙で包む | 内祝いなど控えめに贈るとき/配送で送るとき |
| 外のし | 包装紙で包んだ上からのし紙を掛ける | 手渡しするとき/誰から何のお祝いかを見せたいとき |
内のしは、贈り主の気持ちをさりげなく控えめに伝えたいときや、宅配便で送ってのし紙が傷まないようにしたいときに向くとされています。外のしは表書きが外から見えるため、手渡しで用途や贈り主をはっきり示したいお祝いに向くとされています(おくる(okuru-gift)の解説より)。
ただし、どちらでなければ失礼という決まりはありません。配送か手渡しか、控えめにしたいか目的を見せたいか、という基準で選べば十分です。迷う場面が多いのは、内祝いを郵送するときでしょう。この場合は内のしが選ばれやすい形です。内祝いそのものの考え方は内祝いとはで整理しています。
のしを付けない場面——弔事・お見舞い・生もの
のしは慶事のしるしなので、次の場面では付けません。
- 弔事(通夜・葬儀・法事・香典返し)——水引だけの掛け紙を使う
- お見舞い——のしの付いていない掛け紙を使うとされる
- 生もの(魚・肉など)を贈るとき——のし自体が生ものの代用のため重ねない
弔事でのしを付けないのは、葬儀や法事などでは魚介や肉といった生ものを贈答品にしない慣習があり、生ものを表すのしも添えないためと説明されています(jpnculture.netの解説より)。同じ理由で、慶事であっても魚や肉そのものを贈る場合はのしを付けないのが基本です。
お見舞いは、慶事でも弔事でもない見舞いの品なので、のしのない掛け紙を選ぶと案内されています(おくる(okuru-gift)の解説より)。この扱いは考え方や地域によって幅があるため、迷ったら品物の注文先に用途を伝えて相談してください。香典返しの掛け紙の作法は香典返しののしで詳しく解説しています。
のしの由来|縁起物「熨斗鮑」
最後に、なぜ紙の飾りを「熨斗」と呼ぶのかを整理します。
のしは「熨斗鮑(のしあわび)」を簡略化したものとされています。あわびの肉を薄く削ぎ、干して伸ばした保存食が熨斗鮑です。あわびは不老長寿の薬、長寿をもたらす食べ物とされ、縁起物としてお祝いごとに欠かせないものになりました(jpnculture.netの解説より)。
出典: Japan Culture Lab「熨斗(のし)の意味とは?熨斗紙・熨斗袋の種類と書き方」 https://jpnculture.net/noshi/
古くは、生ものの象徴として贈り物に本物ののしあわびを添える風習がありました。それが簡略化され、現在は紙に印刷した飾りとして残っています(おくる(okuru-gift)の解説より)。のし紙の右上にある黄色い細長い部分が、その熨斗鮑を表しています。「伸ばす」という言葉が末永い縁につながる、という縁起の良さも重なって、慶事のしるしとして使われ続けています。
由来まで知っておくと、「なぜ弔事にはのしを付けないのか」が腑に落ちます。生ものを避ける弔事に、生ものの代用であるのしはそぐわない——この一本の筋で、慶弔の使い分けを覚えられます。
地域・慣習による違い
のしの呼び方や内のし・外のしの選び方、お見舞いでの掛け紙の扱いは、地域や家、贈り物のシーンによって異なる場合があります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、品物の注文先(百貨店・ギフト店)や式場の担当者に用途を伝えて確認するのが確実です。
よくある質問
のしと水引は同じものですか?
別のものです。のし(熨斗)は右上にある小さな飾り、水引(みずひき)は中央にかかった飾りひもを指します。ただ、店頭やネット注文では両方をまとめて「のし」と呼ぶのが通例です。厳密には右上の飾りだけがのしですが、注文時に「のしを付けて」と伝えれば、水引を含めた掛け紙全体を用意してもらえます。
弔事(お葬式や法事)にのしは付けますか?
付けません。のしはもともと縁起物の熨斗鮑(のしあわび)で慶事のしるしのため、弔事には水引だけを印刷した掛け紙を使います。弔事では魚や肉などの生ものを贈らない慣習があり、生ものの代わりだったのしも添えない、と説明されています(jpnculture.netほか)。
内のしと外のし、どちらが正しいですか?
どちらが正しいという明確な決まりはないとされています。宅配便で送るときや控えめに贈りたいときは、包装紙の内側にのし紙を掛ける内のし。手渡しで、誰から何のお祝いかを見せたいときは外のしが選ばれやすい形です(複数のギフト事業者の解説より)。
お見舞いにのしは付けますか?
付けないのが一般的とされています。お見舞いや弔事には、のしの付いていない掛け紙(水引だけのもの)を使うと案内されています(おくる(okuru-gift)の解説より)。地域や考え方で扱いが分かれる部分なので、迷ったら品物の注文先に相談すると確実です。
のし袋とのし紙は何が違いますか?
入れるものが違います。のし袋はお祝いのお金を入れる袋(ご祝儀袋)、のし紙は品物に掛ける紙です。どちらも右上に熨斗の飾りと中央に水引が付いています。お金を包むなら袋、品物に添えるなら紙、と覚えると迷いません。
出典