自分の家の宗派は、親族の年長者に聞く、仏壇と位牌を見る、お墓の文字を見る、菩提寺・葬儀社に確認する、の順で調べられます。位牌がなく過去帳があれば浄土真宗の可能性が高いなど、見分けの手がかりを出典つきでまとめました。
自分の家の宗派は、①親族の年長者に聞く ②仏壇と位牌を見る ③お墓の文字を見る ④菩提寺(ぼだいじ・先祖代々お付き合いのあるお寺)か葬儀社に確認する、の順で調べるのが確実です。仏壇に位牌がなく過去帳が置かれていれば、浄土真宗の可能性があります。
この記事の要点です。
- 最短ルートは「親族の年長者に、お寺の名前を聞く」
- 位牌がなく過去帳がある仏壇は浄土真宗の可能性(本願寺派公式の案内が根拠)
- 「戒名」ではなく「法名」と呼んでいたら浄土真宗
- 墓石の正面に「南無阿弥陀仏」とあれば浄土真宗で勧められる形
- 手がかりはあくまで判断材料。最後は菩提寺に確認する
宗派がわかると、何に迷わなくなるか
家の宗派がわかると、焼香の回数、香典の表書き、法要の営み方など、葬儀と法事の細かな判断がまとめて片づきます。特に喪主側に立つときは、葬儀社との打ち合わせで最初に聞かれる項目です。
逆に、他家の葬儀に参列するだけなら相手の宗派を調べる必要はありません。真宗大谷派の真宗会館も、焼香は自身の宗派の作法にしたがってよいと案内しています。このページは「自分の家」の宗派を調べる方法に絞ります。
手順1. 親族の年長者に「お寺の名前」を聞く
いちばん速くて確実な方法です。宗派名を直接聞くより、「うちのお寺(菩提寺)はどこ?」と聞くほうが答えが返ってきやすいものです。お寺の名前と場所さえわかれば、宗派はほぼ特定できます(手順4で確かめられます)。
法事を最近営んだ親族、お墓参りを続けている親族に聞くのが早道です。聞くときは次の3点をセットにすると、一度で必要な情報が揃います。
- お寺の名前と場所(「◯◯寺」だけでなく、どこの町のお寺か)
- 前回の法事をどこで、どのお坊さんにお願いしたか
- お墓がどこにあるか(寺の境内か、霊園か)
手順2. 仏壇と位牌を見る
実家に仏壇があるなら、次の2点を確かめます。
位牌があるか、過去帳か
浄土真宗本願寺派の公式サイトは、浄土真宗では位牌を用いないと明言しています。代わりに使われる過去帳は「先祖の記録帳のようなもので、亡き人の法名、俗名、死亡年月日などを記しておく」ものと説明されています。位牌が見当たらず、帳面(過去帳)や、名前を記した掛け軸(法名軸)が置かれていれば、浄土真宗の可能性が高まります。この背景は浄土真宗に位牌がない理由で詳しく解説しています。
位牌が並んでいる仏壇なら、浄土真宗以外の宗派の可能性が高いと考えられます。ただし、どちらも家の事情による例外があるため、この段階では「可能性」にとどめてください。
「戒名」か「法名」か
本願寺派の公式サイトによると、浄土真宗では戒名という言い方をせず、法名と呼びます。戒名は受戒した人に授けられる名前で、自力修行をしない浄土真宗にはそぐわないため、という説明です。家族が「法名」と呼んでいたら浄土真宗系の手がかりです。戒名の位や種類の話は戒名とはにまとめています。
名前に「釋」の字があるか
真宗大谷派(東本願寺)の帰敬式(ききょうしき・仏弟子として法名を受ける式)の案内では、法名は男性「釋〇〇」、女性「釋尼〇〇」の形を基本に授与されると説明されています。過去帳やお墓に刻まれた名前に「釋(釈)」の字が入っていれば、浄土真宗系の有力な手がかりです。
手順3. お墓を見る
墓石も手がかりになります。本願寺派の公式サイトは、浄土真宗のお墓について、石碑の正面には「南無阿弥陀仏」の名号を刻むこと、「霊標」とせず「法名碑」とすることを勧めています。お墓参りの際に正面と側面の文字を写真に撮っておくと、あとで確認できます。
ただし「◯◯家之墓」と刻む形はどの宗派にも広く見られるため、墓石だけで決めることはできません。あくまで補助的な手がかりです。
手順4. 菩提寺・葬儀社・寺院検索で確定させる
お寺の名前がわかったら、宗派は次のいずれかで確定できます。
- 菩提寺に直接聞く。「うちは何宗の何派でしょうか」で失礼にはあたりません
- 各宗派の公式サイトの寺院検索・寺院一覧で調べる。たとえば真宗大谷派は公式サイトに全国の寺院・教会一覧を公開しています。他の主要宗派にも同様の寺院検索があります
- 過去に家の葬儀を担当した葬儀社に聞く。施行記録に宗派が残っていることがあります
同じ「浄土真宗」でも本願寺派(お西)と大谷派(お東)で作法が分かれるように、宗派名だけでなく「派」まで確認しておくと、法要の準備で迷いません。
手がかり早見表
| 見つけた手がかり | 考えられること |
|---|---|
| 位牌がなく、過去帳・法名軸がある | 浄土真宗の可能性 |
| 「法名」と呼んでいる。名前に「釋」の字 | 浄土真宗の可能性 |
| 墓石正面に「南無阿弥陀仏」 | 浄土真宗で勧められる形 |
| 位牌があり「戒名」と呼んでいる | 浄土真宗以外の可能性 |
| お寺の名前がわかった | 寺院検索・電話で宗派を確定できる |
手がかりだけで断定しない
仏壇やお墓の形は、地域や家ごとの事情、建てた時代によっても変わります。この表は判断材料の整理であって、確定の道具ではありません。最後は菩提寺か親族の年長者への確認で確定させてください。
わからないまま葬儀を迎えそうなとき
親族に聞ける人がおらず、仏壇もお墓も手がかりにならない。そんなときは、葬儀社に率直に伝えてください。喪家の宗派の確認は葬儀社が日常的に行っている仕事で、地域の寺院事情にも通じています。
参列する側で作法だけ不安な場合は、焼香の回数8宗派早見表と焼香のやり方を読めば当日は乗り切れます。宗派ごとの特徴を順に知りたい方は仏教の宗派一覧からどうぞ。
調べた結果は、書き残して次につなぐ
苦労して確かめた宗派と菩提寺の情報は、あなたの代で止めずに記録しておきましょう。宗派名(派まで)、菩提寺の名前・所在地・連絡先の3点をメモして家族と共有しておけば、次に誰かが同じ検索をする必要がなくなります。エンディングノートの書き方には、こうした情報を書き残す項目リストをまとめています。
よくある質問
今夜が通夜です。宗派を調べる時間がないときはどうすればいいですか?
参列するだけなら、相手の宗派を調べる必要はありません。真宗大谷派の真宗会館は、焼香は「ご自身が信仰されている宗派の作法にしたがって行ってください」と案内しています。自分の宗派もわからなければ、心を込めて1回焼香すれば失礼にはあたらないとされています。
仏壇に位牌がありません。どの宗派でしょうか?
浄土真宗の可能性があります。浄土真宗本願寺派の公式サイトは、位牌を用いず、先祖の法名・俗名・命日を記す過去帳を使うと案内しています。ただし家の事情で位牌を置いていないだけの場合もあるため、位牌がないことだけで断定はできません。
戒名と法名はどう違いますか?
浄土真宗では戒名という言い方をせず、法名と呼びます。本願寺派の公式サイトは、戒名が受戒した人に授けられる名前であるのに対し、法名は仏法に帰依した人の名前であり、本来は生きている間に帰敬式で授かるものと説明しています。位牌や過去帳の書き方を見るときの手がかりになります。
本家と分家で宗派が違うことはありますか?
あり得ます。宗派は個人ではなく家とお寺のお付き合い(檀家関係)で続いてきたものなので、分家した際に別のお寺とお付き合いを始めていれば、本家と異なることもあります。自分の家の菩提寺がどこかを親族に確かめるのが確実です。
出典