焼香は、遺族に一礼し、香をつまんで香炉に落とし、合掌して席に戻るのが基本の流れです。立礼・座礼・回し焼香それぞれの手順と、順番・線香のマナーを出典つきで解説。回数は宗派で異なるため、8宗派の早見表に案内します。
焼香は「遺族に一礼 → 祭壇の前で合掌 → 香をつまんで香炉に落とす → 合掌 → 一礼して席に戻る」が基本の流れです。回数は宗派で異なりますが、全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は「一般的には回数はあまり重要視されず、故人を偲ぶ気持ちを持って行うことが大切」と解説しています。
この記事の要点です。
- 基本の流れは「一礼 → つまむ → くべる → 合掌 → 一礼」
- 香は右手の親指・人差し指・中指の3本で軽くつまむ
- 回数と「押しいただき」の有無は宗派で異なる(早見表あり)
- 形式は立礼・座礼・回し焼香の3つ
- 線香の火は口で吹き消さず、手で仰いで消す
焼香とは
焼香(しょうこう)は、仏式の葬儀や法要で香を焚き、その香りを仏さまと故人に捧げる儀式です。日蓮宗の公式サイトでは、お焼香は「香りを供養するために行う」仏教の大切な行為と説明されています。全葬連の解説でも、香を焚く行為には供養のほか、場を清める意味や、仏さまと故人への謙虚な姿勢を表す意味が込められていると紹介されています。
焼香に使う香は2種類あります。粉末状の「抹香(まっこう)」と、棒状の「線香」です。全葬連によると、葬儀・告別式のように参列者が多い場面では抹香が、通夜や法事など比較的少人数の場面では線香が使われることが多いとされています。
焼香が行われるのは、通夜、葬儀・告別式、四十九日や一周忌などの法要といった仏式の儀式です。神式やキリスト教式の葬儀には焼香はなく、別の作法(玉串奉奠や献花など)になります。案内状や会場の様子で仏式だとわかったら、このページの流れを思い出してください。
なお、このページで扱うのは焼香の動き方と共通のマナーです。「何回くべるか」は宗派によって答えが変わるため、焼香の回数8宗派早見表に分けてまとめました。浄土真宗の「押しいただかない」作法は浄土真宗の焼香で詳しく扱います。
基本の手順(抹香の場合)
全葬連の解説をもとに、立って行う場合の流れを整理します。
- 自分の順番が来たら焼香台へ進み、遺族に一礼する
- 祭壇(遺影)に向かって合掌する
- 抹香を右手の親指・人差し指・中指の3本で軽くつまむ
- つまんだ香を目の高さまで持ち上げ、額の前で静かに傾ける(この動作を「押しいただく」といいます。浄土真宗では行いません)
- 香を香炉に静かに落とす
- 合掌して故人を偲ぶ
- 数歩下がって遺族に一礼し、席に戻る
香の量は、一度にひとつまみで十分です。指で強く握ったり、香炉に勢いよく入れたりせず、静かに扱います。
浄土宗の公式サイトでは、つまんだ右手を仰向けにして左手を下に添え、眉間の高さほどまでいただいてから香炉にくべる、という丁寧な形が紹介されています。臨済宗の公式サイト(臨黄ネット)には、後ろに人が待っているときは右か左に避けて場所を譲ってから、あらためて合掌礼拝するという心配りも載っています。
立礼・座礼・回し焼香の違い
焼香の形式は会場によって変わります。全葬連の解説では次の3つが紹介されています。
立礼焼香
立ったまま焼香を行う形式です。椅子席の葬儀場やセレモニーホールで最も多く見られます。手順は上の「基本の手順」のとおりです。
座礼焼香
座ったまま焼香を行う形式で、畳の部屋で営まれる葬儀や法事で見られます。流れそのものは立礼と同じです。立ち上がって歩かず、腰を低くしたまま焼香台へ進むのが特徴です。
回し焼香
参列者が席を立たず、香炉を順番に回して焼香する形式です。会場が狭い場合や参列者が多い場合に用いられます。全葬連の解説による手順は次のとおりです。
- 前の人から香炉が回ってきたら、軽く会釈して両手で受け取る
- 香炉を自分の前に置き、祭壇に向かって合掌する
- 香を右手の3本指でつまみ、香炉に入れる
- ふたたび合掌し、隣の人に香炉を回す
香炉は両手で丁寧に扱い、自分の番が終わったら速やかに隣へ回します。
線香で焼香する場合
通夜や法事では、抹香ではなく線香をあげる場面もあります。全葬連の解説による手順です。
- 遺族に一礼し、祭壇に向かって合掌する
- 右手で線香を取り、ろうそくの火で点火する
- 火がついたら手で仰いで炎を消す(息を吹きかけるのはマナー違反とされています)
- 線香を香炉に立てる(複数本の場合は1本ずつ)
- ふたたび合掌する
線香の本数も宗派で異なります。全葬連の解説では、臨済宗は1本、真言宗・曹洞宗・天台宗・日蓮宗などは3本、浄土真宗は立てずに折って寝かせる、宗派がわからない場合は1本または3本を立てるのが一般的と紹介されています。
焼香の順番と待つときのマナー
全葬連の解説では、焼香の順番は遺族、友人・知人の順とされています。一般の参列者は、係の案内と席の並びに従えば迷うことはありません。
- 列に並ぶときは、前の人の焼香が終わるまで少し距離を置いて待つ
- 焼香中は私語を慎む
- 焼香を終えたら、焼香台の前を速やかに離れる
背筋を伸ばし、姿勢を正して行うことも同じ解説の中で挙げられています。作法の細部より、故人を悼む気持ちが伝わる所作を心がければ十分です。
よくあるつまずきと考え方
はじめての焼香で迷いやすい点を整理します。
- 押しいただくべきか迷う。押しいただきは多くの宗派の一般的な作法ですが、浄土真宗では行いません。どちらの形になっても、全葬連の解説にあるとおり「故人を偲ぶ気持ちを持って行うことが大切」で、動作の違いが失礼になることはまずありません
- 前の人と回数が違った。回数は宗派の作法の違いであって、間違い探しの場ではありません。自分の家の宗派の形か、心を込めた1回で大丈夫です
- 順番が回ってきたのに数珠をバッグに入れたままだった。列に並ぶ前に左手に掛けておくと慌てません。取り出せないまま順番が来たら、そのまま合掌して構いません
会場ごとの案内(僧侶や司会のアナウンス)があるときは、それが最優先です。
地域・宗派・寺院による違い
焼香の作法は宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとの慣習によっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や式を担当する葬儀社に確認するのが確実です。
焼香の前に確かめておきたいこと
焼香のとき、数珠は左手に持ちます。房の向きや宗派ごとの掛け方は数珠の持ち方にまとめました。通夜に参列する予定なら、通夜の流れと作法と葬式の服装もあわせてどうぞ。自分の家の宗派があやふやな方は、宗派の調べ方から確認できます。
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よくある質問
焼香の回数は何回が正しいですか?
宗派によって異なります。浄土真宗本願寺派は1回、真宗大谷派は2回と各公式サイトが案内し、日蓮宗は参列者1回としています。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は「一般的には回数はあまり重要視されず、故人を偲ぶ気持ちを持って行うことが大切」と解説しています。宗派ごとの違いは焼香回数の8宗派早見表のページにまとめています。
焼香の順番に決まりはありますか?
全葬連の解説では、焼香の順番は遺族、友人・知人の順とされています。一般の参列者は、係の案内や席の並びに従って進めば心配いりません。列に並ぶときは、前の人の焼香が終わるまで少し距離を置いて待ちます。
宗派がわからないまま参列します。焼香はどうすればいいですか?
真宗大谷派の真宗会館は「ご自身が信仰されている宗派の作法にしたがって行ってください」と案内しています。自分の家の宗派もわからない場合は、心を込めて1回焼香すれば失礼にはあたらないとされています。日蓮宗の公式サイトも、大勢の場合は1回にするのが常識と説明しています。
線香の火はどうやって消せばいいですか?
手で軽く仰いで消します。息を吹きかけて消すのは、仏さまに息を吹きかけることになり失礼にあたるとされているため避けます(全葬連の解説による)。
焼香のとき数珠はどう持ちますか?
香をつまむ右手を空けるため、数珠は左手に持つのが基本です。房は下に垂らします。宗派ごとの掛け方の違いは、数珠の持ち方のページで解説しています。
出典