樹木葬は、樹木や草花を墓標とするお墓で、多くは承継者のいらない永代供養付きです。全国調査(2026年公表)では平均購入価格71.7万円でした。里山型・公園型などの種類の違いと、合祀後は遺骨を取り出せないなどの契約前の注意点をまとめました。
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓です。多くは永代供養付きで、お墓を継ぐ人がいなくても申し込めます。2026年公表の全国調査では平均購入価格は71.7万円で、一般墓(152.0万円)より費用を抑えやすい選択肢です。ただし合祀型では埋葬後に遺骨を取り出せないため、契約前に埋葬方法の確認が欠かせません。
この記事の要点は次の4つです。
- 樹木葬は法律上も「お墓」。許可を受けた墓地でしか行えず、自宅の庭には埋葬できない
- 種類は「場所」(里山型・公園型)と「埋葬方法」(合祀・集合・個別)の2軸で見分ける
- 平均購入価格は71.7万円(2026年公表の全国調査)。ただし区画・人数・立地で大きく変わる
- 一度合祀された遺骨は取り出せない。埋葬方法と人数の確認が契約前の最重要ポイント
樹木葬とは|樹木や草花を墓標にするお墓
樹木葬(じゅもくそう)とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓です。桜やハナミズキなどのシンボルツリーの周りに複数の遺骨を埋葬するもの、区画ごとに低木や草花を植えるものなど、形はさまざまです。
「自然に還る」というイメージで語られますが、法律の上では樹木葬も一般のお墓と同じ扱いです。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)の第4条は、埋葬や焼骨の埋蔵を墓地以外の区域で行うことを禁じています。ここでいう墓地とは、都道府県知事等の許可を受けた区域のことです(同法第2条)。つまり、自宅の庭や思い出の山に遺骨を埋めることはできません。樹木葬は、許可を受けた霊園・寺院の区画で行います。
出典: e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)
選ぶ人は多く、株式会社鎌倉新書が2026年に公表した「第17回 お墓の消費者全国実態調査」(2025年にお墓を購入した1,267人が対象)では、購入したお墓の種類は樹木葬が47.4%で最多でした。一般墓は15.2%、納骨堂は15.5%です。
出典: 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
樹木葬の種類|「場所」と「埋葬方法」の2軸で見る
パンフレットの名称は施設ごとにばらばらです。「どこにあるか」と「遺骨がどう扱われるか」の2軸で整理すると比較しやすくなります。
場所による分類
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 里山型 | 山林など自然の中に埋葬する。自然に近い雰囲気の一方、アクセスしにくい立地が多い |
| 公園型・庭園型 | 市街地や霊園の一角に整備された区画。お参りしやすく、都市部に多い |
埋葬方法による分類
| タイプ | 遺骨の扱い |
|---|---|
| 合祀型 | 最初から他の方の遺骨と一緒に埋葬する。費用を抑えやすいが、後から取り出せない |
| 集合型 | 同じシンボルツリーの下などに、区画や骨壺を分けて埋葬する |
| 個別区画型 | 1人・1家族ごとの区画に埋葬する。安置期間の後に合祀へ移る施設が多い |
遺骨の納め方も施設によって違います。骨壺のまま納めるもの、布の袋などに移して土に還すもの、粉骨(遺骨を細かくすること)が条件のものがあります。土に還す方式や粉骨後は、遺骨を元の形で取り出すことはできません。
費用の考え方
前述の鎌倉新書の調査(2026年公表)では、樹木葬の平均購入価格は71.7万円でした。一般墓の152.0万円、納骨堂の81.5万円と比べると、費用を抑えやすい選択肢です。
| お墓の種類 | 平均購入価格 |
|---|---|
| 樹木葬 | 71.7万円 |
| 納骨堂 | 81.5万円 |
| 一般墓 | 152.0万円 |
※ お墓のポータルサイト「いいお墓」経由で2025年に購入した1,267人への調査。
出典: 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
ただし、これはあくまで平均値です。実際の価格は「埋葬方法(合祀か個別か)」「埋葬する人数」「立地」で大きく変わります。合祀型は抑えやすく、都市部の個別区画や家族用の区画は高くなる傾向があります。
料金の内訳もあわせて確認してください。区画の使用料(永代供養料を含むことが多い)のほかに、埋葬時の手数料、銘板・プレート代、年間管理費などが別建てになっている場合があります。年間管理費は、かからない施設とかかる施設の両方があります。内訳の書かれた見積もりをもらい、総額で比較するのが確実です。
契約前に確認したい6つの注意点
- 遺骨を取り出せるか。合祀型や、土に還す方式では、埋葬後に遺骨を取り出せません。将来の改葬(遺骨の引っ越し)の可能性が少しでもあるなら、個別安置の期間がある区画を選んでください。なお、改葬には墓埋法に基づく市区町村長の許可が必要です
- 埋葬できる人数と追加費用。1人用の区画に後から家族を追加できるか、追加の費用はいくらか
- 遺骨の納め方。粉骨が条件か、骨壺のまま納められるか
- お参りの環境。里山型は駅から遠いことが多く、雨天や冬場の足元も含めて実際に見学を。線香や供花に制限のある施設もあります
- 樹木は変化すること。シンボルツリーは成長し、枯れることもあります。枯れた場合の植え替えや、区画の将来の管理方法を確認してください
- 親族との共有。従来のお墓と形が大きく違うため、埋葬後に親族から異論が出ると解決が難しくなります。契約前に共有しておくのが安全です
書面の確認も忘れずに。国民生活センターには、お墓に関する相談が毎年1,000件を超えて寄せられています(PIO-NETに登録された「墓」の相談件数は2022年度1,148件、2023年度1,044件、2024年度1,013件)。契約書と料金の内訳を読み合わせてから申し込んでください。
出典: 国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」(2025年8月更新)
宗派・地域による違い
樹木葬の形式や申し込みの条件は、運営する霊園・寺院によって異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。宗派の作法との兼ね合いが気になるときは、菩提寺や検討中の施設に直接確認するのが確実です。
納骨の時期と法要
納骨の時期に決まりはなく、四十九日や一周忌などの法要に合わせる方が多いとされています。法要の日取りは、命日から四十九日・回忌を自動計算できる法要日程計算機で確認できます。
また、樹木葬の多くに付いている「永代供養」は、霊園や寺院が遺骨の管理・供養を引き受ける仕組みのことです。合祀のタイミングなど契約の考え方は永代供養の仕組みと選び方で詳しくまとめています。
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よくある質問
自宅の庭に遺骨を埋めて樹木葬にできますか?
できません。墓地、埋葬等に関する法律の第4条で、遺骨の埋蔵は都道府県知事等の許可を受けた墓地以外で行ってはならないと定められています。樹木葬は、許可を受けた霊園や寺院の区画で行うお墓の形です。
樹木葬に宗教や宗派の決まりはありますか?
宗旨・宗派を問わずに申し込める施設が多いとされています。ただし寺院が運営する樹木葬では、法要の形式などに条件が付く場合もあります。申し込み前に募集要項で確認してください。
跡継ぎがいなくても樹木葬を選べますか?
多くの樹木葬は永代供養付きで、お墓を継ぐ人がいなくても申し込めるのが一般的です。ただし契約内容は施設ごとに異なるため、個別に安置される期間と合祀のタイミングをあわせて確認すると安心です。
出典