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法事・法要 / 作法の手引き

お布施の相場と渡し方|金額の考え方と渡すタイミング【出典つき】

結論

お布施は、読経や戒名の「料金」ではなく、寺院への感謝を包んで渡すお礼です。定価がないため、金額は地域や寺院との関係によって幅があります。迷ったときは、寺院に「皆さまどのくらい包まれていますか」と直接尋ねて差し支えありません。袋は白無地の封筒、表書きは「御布施」、渡すときはお盆か袱紗に載せるのが基本の形です。

要点は次の6つです。

  • お布施は対価ではなくお礼。決まった金額はない
  • 法要の目安は、葬儀社の解説では四十九日・一周忌が3万〜5万円で重なる(料金表ではない)
  • 金額に迷ったら、寺院か親族の年長者に確認してよい
  • 袋は白無地の封筒か奉書紙。表書きは「御布施」を普通の黒い墨で
  • 手渡しは避け、切手盆(小さなお盆)か袱紗に載せて渡す
  • 僧侶に出向いてもらう場合は「御車代」、会食を辞退された場合は「御膳料」を別に包む慣習がある

お布施とは何か

お布施は、葬儀や法要で読経や戒名を授けてもらった寺院に対して、感謝の気持ちとして金銭を包んで渡すものです。

ここで押さえておきたいのは、お布施が「サービスの対価」ではないという位置づけです。仏教界の連合団体である全日本仏教会は、お布施の価格を一覧表示した葬儀情報サイトに対して「喜捨の精神に反する」として削除を要請しており(2011年)、お布施はあくまで仏教的行為の一環であるという立場を示しています。

つまり「読経〇分でいくら」という計算をするものではなく、寺院という場を支えるための寄進、というのが本来の考え方です。相場という言葉を使う場合も、この前提を頭に置いておくと、寺院とのやり取りで戸惑いにくくなります。

宗派・地域による違い

お布施の考え方や金額の目安は、宗派・地域・寺院との関係によって大きく異なります。この記事は一般的な例と公開されている調査データのご紹介です。迷ったときは、菩提寺や葬儀社に確認するのが確実です。

調査データで見るお布施の金額

公開されている全国調査として、株式会社鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査」(2022年・喪主経験者1,955名対象)があります。この調査では、葬儀の際に寺院へ渡したお布施(読経や戒名のお礼を含む)の平均は22.4万円でした。

ただし、この数字をそのまま「包むべき金額」と受け取らないでください。同じ調査で金額の分布を見ると、最も多い回答は「1万円以上10万円未満」で28.4%、次いで「10万円以上20万円未満」が23.9%です。平均額は一部の高額な回答に引き上げられやすいため、実際には平均より少ない金額を包んだ人が相当数いることが分布から読み取れます。

出典: 株式会社鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査」(2022年)

鎌倉新書はこの調査を2年ごとに続けていて、その後に第6回(2024年)と第7回(2026年)が公表されています。ただ、どちらの公表資料(プレスリリースと、そこからリンクされた調査結果の全文)にも、お布施の平均額は載っていませんでした(2026年9月26日確認)。お布施の平均を調査の公表資料で確かめられるのは、2022年の第5回がいまのところ最新です。第7回で数字として出ているのは、喪主が困ったことの最多が「お布施の相場・マナーがわからない」(346件)だったという結果です。

出典: 株式会社鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」・「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」(いずれも2026年9月26日確認)

なお、この数字は葬儀のときのお布施です。四十九日や一周忌などの法要のお布施だけを集計した公開調査は、現時点で確認できていません。法要ごとの目安は、調査データの代わりに葬儀社の解説を並べて次の節に置きました。

法要ごとのお布施の目安|葬儀社の解説で範囲が重なるもの

法要のお布施は調査がないので、葬儀社が公開している解説の「目安」を並べました。載せたのは、2社以上の解説で範囲が重なった法要だけです。1社でしか確かめられない法要や、各社の範囲が食い違う法要は、金額を書かずに「寺院に確認」としています。

法要解説各社の目安範囲を確かめた解説
初七日3万〜5万円小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド
四十九日3万〜5万円イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド
納骨法要(納骨だけを営む場合)1万〜5万円小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド
初盆(新盆)3万〜5万円イオンのお葬式・小さなお葬式・よりそうお葬式・はじめてのお葬式ガイド
2年目以降のお盆5千〜1万円は各社の範囲に入る(上限はイオンのお葬式が1万円、よりそうお葬式とはじめてのお葬式ガイドが2万円)イオンのお葬式・よりそうお葬式・はじめてのお葬式ガイド
一周忌3万〜5万円イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド
三回忌1万〜5万円イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド(「三回忌以降」として)
七回忌以降1万〜5万円イオンのお葬式・はじめてのお葬式ガイド(どちらも「三回忌以降」として)
お彼岸金額は載せない。寺院に確認自宅に招くか寺院の合同法要に参るかで各社の分け方が違い、自宅に招く場合の範囲も「3万〜5万円」と「1万〜3万円」で食い違う

確認日はすべて2026年9月26日です。三回忌は、小さなお葬式の解説が本文で1万〜5万円、冒頭の要点で3万〜5万円と書いており、表には本文の範囲を置きました。

表を読むときに、3つだけ覚えておいてください。

  • これは料金表ではありません。先に書いたとおり、全日本仏教会はお布施の価格一覧を示すことに反対しています。表は、菩提寺に「皆さまどのくらい包まれていますか」と尋ねる前に、話の見当をつけるためのものです
  • 地域で変わります。小さなお葬式の解説は、四十九日のお布施について関東圏が高めで、東北などの地方は低めになる傾向を挙げています
  • 宗派で考え方が変わります。浄土真宗のお布施の扱いは浄土真宗のお布施、曹洞宗の法事は曹洞宗のお布施にまとめています。菩提寺の案内があれば、そちらが正です

同じ日に四十九日と納骨を営む場合や、新しいお墓の開眼供養が重なる場合は、解説によって足し方の書き方がまちまちでした。重なる法要があるときは、寺院に「まとめてお願いする場合」と伝えて確かめてください。

法要のお布施はどう決める?

金額の出どころがない以上、確認先を持つことが一番の近道です。次の順で確認するのが現実的です。

  1. 菩提寺に直接尋ねる。「皆さまどのくらい包まれていますか」という聞き方なら、目安を教えてもらえることが多いです
  2. 親族の年長者に聞く。同じ寺院と付き合ってきた家族なら、過去に包んだ金額がそのまま参考になります
  3. 葬儀社や法要会館に聞く。地域の相場感を把握しています

「お気持ちで」と返されて困ったら、2と3に戻って確認すれば大丈夫です。金額を聞くこと自体は失礼にあたらないとされています。

四十九日や一周忌の日付がまだ固まっていない場合は、法要日程計算機で先に日程を確認しておくと、寺院への相談がスムーズです。一周忌の準備全体の流れは一周忌の準備と当日の流れに、初盆のお布施の考え方は初盆・お盆のお布施にまとめています。

袋と表書きは、ここだけ押さえれば足ります

袋は白無地の封筒(郵便番号欄のない一重のもの)か、「御布施」と印刷された市販の封筒が広く使われます。より丁寧にするなら奉書紙で包む形もあります。水引は不要とされることが多い一方、地域によっては黒白や黄白をかける慣習も残っています。

表面の上段に「御布施」、下段に施主の姓(〇〇家)かフルネームを書きます。墨は香典と違って薄墨にせず、濃い黒を使います。中に入れるお札は新札で問題ありません。

袋の選び分け、中袋の書き方、中袋がないときの扱い、お札の向き、奉書紙の折り方までの手順はお布施の書き方|封筒の表書き・中袋・お札の入れ方にまとめました。封筒を前に筆を持っている段階なら、そちらから読んでください。

お布施と香典の作法対比表

墨の色とお札の扱いは、香典とお布施で逆になります。書き始める前に、4か所を並べて確認してください。

項目お布施香典
表書き上段に「御布施」または「お布施」、下段に施主の姓(「〇〇家」やフルネームでも可)四十九日より前は「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」(浄土真宗は葬儀の時点から「御仏前」)
墨の色普通の黒い墨で書く薄墨で書くのが正式とされる(近年は黒インクでも差し支えないとされる)
お札新札で問題ないとされる新札は避ける(事前に用意していたと受け取られるため)
水引不要とされることが多い(地域によって黒白・黄白をかける慣習もある)黒白または双銀の結び切りが一般的

香典側の出典: 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは」/一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会「お葬式のマナー」。お布施側はこのページで説明している一般的な慣習で、地域や寺院、宗派によって異なります。迷ったときは菩提寺や葬儀社に確認してください。

香典側の詳しい手順は別のページにまとめています。表書きと名前の書き方は香典の書き方、袋と水引の選び方は香典袋の選び方、御霊前と御仏前の切り替わりは御霊前と御仏前の違いをご覧ください。

渡し方とタイミング

お布施は手渡しを避け、次のどちらかの方法で渡します。

  • 切手盆(きってぼん・小さな黒いお盆)に載せて、文字の向きを僧侶側に回して差し出す
  • 袱紗(ふくさ)から取り出し、袱紗をたたんで台の代わりにして載せる

渡すタイミングは、法要が始まる前の挨拶のときか、法要後にお礼を伝えるときが一般的です。袱紗の色の選び方や包み方は袱紗とはで図解しています。

お車代・御膳料もあわせて確認

お布施とは別に、次の2つを包む慣習があります。

  • 御車代(おくるまだい): 僧侶に自宅や会場まで出向いてもらった場合の交通費として包む。施主が送迎する場合や寺院で法要を行う場合は不要
  • 御膳料(おぜんりょう): 法要後の会食を僧侶が辞退された場合に、食事の代わりとして包む

いずれも白無地の封筒に表書きをして、お布施と一緒に渡すのが一般的です。金額の目安は、葬儀社の解説で次のように重なっていました(2026年9月26日確認)。

包むもの解説各社の目安範囲を確かめた解説
御車代5千〜1万円イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド
御膳料5千〜1万円イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイド

御車代は、遠くから来てもらうときは実際の交通費に見合う額にする、とイオンのお葬式の解説にあります。どちらも地域差があるため、お布施と同じく寺院や親族に確かめると確実です。

なお、永代供養を検討している方は、永代供養料はお布施と異なり寺院や霊園が料金として提示するものです。違いは永代供養とはで説明しています。

#お布施 #法事 #法要 #葬儀

よくある質問

お布施に決まった金額はありますか?

ありません。お布施は読経や戒名への対価ではなく、寺院へのお礼・寄進という位置づけのため、定価が存在しません。金額は地域や寺院との関係によって幅があります。迷ったら寺院に直接尋ねるか、親族の年長者に確認するのが確実です。

お布施の金額を寺院に直接聞いても失礼になりませんか?

失礼にはあたらないとされています。「皆さまどのくらい包まれていますか」という聞き方であれば、目安を答えてもらえることが多いです。お布施の位置づけ上「お気持ちで」と返される場合もありますが、その際は親族や地域の年長者に確認する方法があります。

お布施はいつ渡すのがよいですか?

法要が始まる前の挨拶のときか、法要後にお礼を伝えるときが一般的とされています。手渡しは避け、切手盆(小さな黒いお盆)に載せるか、袱紗から取り出して袱紗をたたんだ上に載せて差し出します。文字の向きは僧侶側から読める向きにします。

四十九日や一周忌のお布施はいくらが目安ですか?

法要のお布施だけを集計した公開調査はありません。葬儀社の解説を並べると、四十九日と一周忌は3万〜5万円で、イオンのお葬式・小さなお葬式・はじめてのお葬式ガイドの3社とも同じ範囲でした(2026年9月26日確認)。三回忌以降は1万〜5万円とする解説が多く見られます。料金表ではなく目安なので、菩提寺に「皆さまどのくらい包まれていますか」と尋ねて確かめてください。

お布施のほかに御車代・御膳料も必要ですか?

場面によります。僧侶に自宅や会場まで出向いてもらった場合は交通費として御車代を、法要後の会食を僧侶が辞退された場合は食事の代わりとして御膳料を、それぞれ別の白封筒に包む慣習があります。施主が送迎する場合や寺院で法要を行う場合、御車代は不要とされています。

お布施の封筒の書き方はどうすればよいですか?

表面の上段に「御布施」、下段に施主の姓かフルネームを、薄墨にせず濃い黒の墨で書きます。中袋があるタイプは表に金額、裏の左下に住所と氏名を書きます。袋の選び方・中袋・お札の向きまでの詳しい手順は「お布施の書き方|封筒の表書き・中袋・お札の入れ方」にまとめています。

出典

  1. 株式会社鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査」(2022年)
  2. 株式会社鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」(お布施の平均額の記載なし・2026年9月26日確認)
  3. 株式会社鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」(お布施の平均額の記載なし・2026年9月26日確認)
  4. 全日本仏教会「『葬儀本.com』に掲載されているお布施の価格一覧に対して削除の要請」(2011年)
  5. 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは:御仏前?御霊前?迷った時の香典袋の書き方とマナー」
  6. 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会「お葬式のマナー」
  7. イオンのお葬式「四十九日のお布施マナー-金額相場・封筒の書き方・渡し方を解説」
  8. イオンのお葬式「一周忌のお布施はいくら包む?金額相場と封筒の書き方・渡し方」
  9. イオンのお葬式「三回忌のお布施相場はいくら?金額・書き方・渡し方のマナー」
  10. イオンのお葬式「初盆のお布施マナー - 金額相場から御車代・御膳料まで解説」
  11. 小さなお葬式「初七日法要の費用を徹底解説!お布施の正しい書き方・包み方・渡し方とは?」
  12. 小さなお葬式「四十九日法要ではどんな費用がかかる?お布施や納骨の相場についても解説!」
  13. 小さなお葬式「三回忌のお布施はいくらが妥当?気になる相場をご紹介!」
  14. はじめてのお葬式ガイド(株式会社鎌倉新書)「お布施の金額相場はいくら?葬儀・法事別の目安と封筒の書き方・渡し方のマナー」
  15. よりそうお葬式「初盆(新盆)に必要なお布施の相場は?お布施の渡し方とタイミング!」