初盆のお布施に、全国共通の決まった金額はありません。お布施は読経への対価ではなく、感謝の気持ちとして納めるものとされているためです。金額に迷ったら、菩提寺に「皆さまはどのくらいお包みでしょうか」と直接尋ねて差し支えありません。
この記事の要点です。
- お布施に「定価」はない。全日本仏教会も価格一覧の表示を認めない立場
- 目安としては、葬儀社の解説4社がそろって3万〜5万円を挙げている
- 金額は菩提寺への確認、親族の前例、葬儀社への相談で決める
- 封筒は白無地、表書きは「御布施」、墨は普通の濃さで
- 僧侶に出向いてもらったら御車代、会食を辞退されたら御膳料を別に包む慣わしがある
- 渡すときは切手盆か袱紗の上に載せて差し出す
初盆(はつぼん)と新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)は同じ行事の呼び分けです。「御経料」「お経料」という言い方で調べる方もいますが、封筒に書く表書きは「御布施」で通ります。
初盆(新盆)のお布施の相場|葬儀社の解説で重なる範囲
初盆のお布施の金額について、官公庁や業界団体による公表調査は見つかりませんでした。そこで調査の代わりに、葬儀社が公開している解説の目安を並べました。2社以上で範囲が重なったものだけを載せています。
| お盆 | 解説各社の目安 | 範囲を確かめた解説 |
|---|---|---|
| 初盆(新盆)の法要 | 3万〜5万円 | イオンのお葬式・小さなお葬式・よりそうお葬式・はじめてのお葬式ガイド |
| 2年目以降のお盆 | 5千〜1万円は各社の範囲に入る(上限はイオンのお葬式が1万円、よりそうお葬式とはじめてのお葬式ガイドが2万円) | イオンのお葬式・よりそうお葬式・はじめてのお葬式ガイド |
確認日は2026年9月26日です。初盆が高めになる理由を、イオンのお葬式の解説は「手厚い法要となるため」、よりそうお葬式の解説は「僧侶が法要の場所に出向いて儀式を執り行うため」と説明しています。四十九日や一周忌など、ほかの法要の目安はお布施の相場と渡し方の表にまとめました。
この表は料金表ではありません。宗派・地域・寺院とのお付き合いで変わりますし、菩提寺が金額を案内していれば、そちらが正です。
そもそもお布施は、読経というサービスへの支払いではありません。全日本仏教会は2011年の文書で、お布施の金額を一覧表示することは「喜捨(きしゃ・自らの意思で差し出す施し)の精神に反する」として認めない立場を示しています。仏教の考え方では、金額は本来、包む側が決めるものです。
表の目安を手元に置いたうえで、自分の家の場合の答えは次の方法で確かめられます。
金額に迷ったときの確かめ方(3ステップ)
1. 菩提寺に直接尋ねる
いちばん確実な方法です。聞くこと自体は失礼にあたらないとされています。聞き方はこのような形で十分です。
- 「初盆の法要をお願いしたいのですが、お布施はどのくらい包ませていただくものでしょうか」
- 「皆さまはどのくらいお包みでしょうか」
目安を教えてくれる寺院もあります。「お気持ちで」と返された場合は、次のステップに進みます。
2. 親族の年長者に前例を聞く
同じ菩提寺、同じ地域での前例が、実情にいちばん近い答えです。過去に法事を営んだ親族がいれば、そのときの金額を聞いてみてください。家と寺院のお付き合いの歴史も含めて教えてもらえます。
3. 葬儀社や仏壇店に地域の慣例を聞く
葬儀でお世話になった葬儀社や、地元の仏壇店は、その地域の慣例を日常的に見ています。菩提寺がなく、僧侶の手配から相談する場合も、手配先に確認すれば案内があります。
3つの確かめ先を並べると、こうなります。
| 順 | 確かめる先 | 聞き方の例 | 得られること |
|---|---|---|---|
| 1 | 菩提寺 | 「初盆の法要をお願いしたいのですが、お布施はどのくらい包ませていただくものでしょうか」 | いちばん確実。目安を教えてくれる寺院もある |
| 2 | 親族の年長者 | 過去に法事を営んだときいくら包んだか | 同じ寺院・同じ地域での前例。家と寺院のお付き合いの歴史も含めて聞ける |
| 3 | 葬儀社・仏壇店 | その地域の慣例を尋ねる | 菩提寺がなく僧侶の手配から相談する場合の手がかり |
3つを試しても手がかりがないときは、家族で相談し、無理のない範囲で感謝として包める額を決めてください。お布施は本来、包む側が決めるものです。生活を圧迫してまで包む必要はありませんし、その考え方は喜捨の精神とも矛盾しません。
お布施のほかに包むもの(御車代・御膳料)
お布施とは別に、次の2つを包む慣わしがあります。
当日包むものを、性質ごとに整理しました。
| 包むもの | 何に対して包むか | 包む場面 | 用意の仕方 |
|---|---|---|---|
| お布施 | 読経へのお礼(喜捨) | 法要をお願いするとき | 白無地の封筒、または奉書紙に包む |
| 御車代(おくるまだい) | 交通費 | 僧侶に自宅や会場まで出向いてもらったとき | 白無地の封筒に分けて用意する |
| 御膳料(ごぜんりょう) | 会食の代わり | 法要後の会食(お斎)を僧侶が辞退されたとき | 白無地の封筒に分けて用意する |
金額は地域や事情で変わるため、これも菩提寺への確認や親族の前例が頼りになります。
初盆をどこで営むかで、用意するものが変わる
上の3つのうち、その日に実際に用意するものは、法要の場所と会食の有無で決まります。「―」は、その慣わしが当てはまらない場面です。
| 初盆の営み方 | お布施 | 御車代 | 御膳料 |
|---|---|---|---|
| 自宅に僧侶を招いて営む | 用意する | 出向いてもらうので用意する慣わし | 会食を辞退されたら用意する |
| 会館や斎場に僧侶を招いて営む | 用意する | 出向いてもらうので用意する慣わし | 会食を辞退されたら用意する |
| お寺の本堂で営む | 用意する | ―(こちらが出向くので当てはまらない) | 会食を辞退されたら用意する |
| 会食を営まない | 用意する | 招いた場合は用意する慣わし | ―(会食そのものが無い) |
| 会食に僧侶も同席される | 用意する | 招いた場合は用意する慣わし | ―(食事の代わりにあたらない) |
| 翌年からの棚経(自宅へのお参り) | 用意する。初盆より簡素な形になることが多い | 出向いてもらうので用意する慣わし | ―(会食を伴わないのが通例) |
御車代と御膳料は、お布施とは別の封筒に分けて用意します。どちらも金額に決まりはなく、地域や寺院とのお付き合いで変わります。
封筒と表書きの書き方
用意するときに手が止まるところを、上から順に並べました。
| 整えるところ | どうするか | そうする理由・補足 |
|---|---|---|
| 封筒 | 白無地の封筒を使うか、奉書紙(ほうしょがみ)に包む | 表書きだけの簡素な形で差し支えないとされる |
| 表書き | 「御布施」または「お布施」と書く | 「御経料」と呼ばれることはあっても、書くのは御布施で通る |
| 名前 | 表書きの下に施主の姓名、または「◯◯家」 | 誰から納めたものかが寺院側に伝わる |
| 墨の濃さ | 普通の濃さでかまわないとされる | 薄墨は香典など弔意を表す場面の慣わし。お布施はお寺への感謝だから |
| 水引 | かけない地域とかける地域がある | 迷ったら白無地の封筒に「御布施」だけで問題ないとされる |
| 裏面・中袋 | 住所・氏名を書いておく | 寺院側が整理しやすくなる |
| お札 | 新札でも差し支えないとされる | 香典と違い、不幸を悼む不祝儀ではないため |
| お札の向き | 肖像のある面を封筒の表側に向け、向きをそろえる | 厳密な決まりはないが、よく知られた入れ方 |
御車代・御膳料を別に包むときも、封筒と書き方の整え方は同じです。表書きだけ「御車代」「御膳料」に替えます。
渡し方とタイミング
お布施は手渡しではなく、小さなお盆(切手盆)に載せるか、袱紗(ふくさ)の上に置いて差し出すのが丁寧とされています。袱紗の色や包み方は袱紗の記事で確認できます。
| 迷いどころ | どうするか |
|---|---|
| 渡し方 | 切手盆に載せるか、袱紗の上に置いて差し出す。封筒を直に手渡さない |
| 渡すタイミング | 法要が始まる前の挨拶のとき、または読経が終わってお礼を伝えるとき |
| 添える言葉 | 「本日はありがとうございました。どうぞお納めください」で十分 |
| 御車代・御膳料 | お布施と同じ場面で、別の封筒にして一緒に差し出す |
僧侶が進行で忙しくされている場合は、落ち着いたタイミングを待って差し出せば差し支えありません。
新札でもいい?
新札で差し支えないとされています。香典には「不幸を待っていたように見えるので新札を避ける」という考え方が知られていますが、お布施はお寺への感謝として納めるもので、不祝儀ではないためです。
毎年のお盆のお布施(棚経)
初盆のあとも、毎年のお盆に僧侶のお参り(棚経・たなぎょう)をお願いする家庭があります。この場合も金額に決まりはなく、寺院とのお付き合いによって変わります。葬儀社の解説では、2年目以降のお盆は5千円からの範囲が挙がっており(上の表)、初盆の法要より簡素な形になることが多いとされます。初盆と同じように菩提寺に確認してください。お布施全般の基本の考え方はお布施の相場と渡し方にまとめています。
宗派による違い
宗派によっては、お盆の営み方自体が変わります。たとえば浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、お盆のための特別な準備は必要なく、追善供養もいらないと案内されています。初盆にあたる時期の法要をどう営むかも含めて、まずお付き合いのあるお寺の考え方を確認してください。
地域・宗派・寺院による違い
お布施の考え方や金額の慣例は、宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとのお付き合いによっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や法要を手配する葬儀社に確認するのが確実です。
初盆の準備全体を確認する
お布施の用意が見えたら、残りの準備です。白提灯や法要の段取りは初盆(新盆)とは、お盆全体の日程と迎え火・送り火はお盆はいつから?で確認できます。
初盆を営む年は、そのまま年末の準備へ続きます。年賀状を辞退することを伝える喪中はがきには投函の時期があり、書き方は喪中はがきの文例にまとめています。
よくある質問
初盆のお布施はいくら包めばいいですか?
全国共通の決まった金額はありません。葬儀社の解説では、初盆のお布施はイオンのお葬式・小さなお葬式・よりそうお葬式・はじめてのお葬式ガイドの4社とも3万〜5万円を目安に挙げていました(2026年9月26日確認)。ただし全日本仏教会は、お布施の価格一覧表示を喜捨の精神に反するとして認めない立場です。目安は見当をつけるためのものとして、菩提寺に直接尋ねるか、親族の前例に合わせるのが確実です。
お寺にお布施の金額を聞くのは失礼になりませんか?
失礼にはあたらないとされています。「皆さまはどのくらいお包みでしょうか」という聞き方なら角も立ちません。目安を教えてくれる寺院もありますし、「お気持ちで」と言われた場合は親族の年長者や葬儀社に地域の慣例を聞く方法があります。
御車代・御膳料とは何ですか?
御車代は、僧侶に自宅や会場まで出向いてもらったときに交通費として包むもの。御膳料は、法要後の会食を僧侶が辞退されたときに食事の代わりとして包むものです。いずれもお布施とは別に包む慣わしで、金額は地域や事情によって異なります。
お布施は新札でも大丈夫ですか?
新札でも差し支えないとされています。香典と違い、お布施はお寺への感謝として納めるもので、不幸を悼む不祝儀ではないためです。地域の慣わしが気になるときは親族に確認してください。
「御経料」「お経料」とお布施は同じものですか?
呼び方として使われることはありますが、封筒に書く表書きは「御布施」とするのが基本です。全日本仏教会は2011年の文書で、お布施の金額を一覧表示することは喜捨の精神に反するとして認めない立場を示しています。読経というサービスへの料金ではなく、お寺への感謝として納めるものという考え方が背景にあります。金額に決まりがないのも同じ理由です。
お寺の本堂で初盆の法要を営む場合も御車代は要りますか?
御車代は、僧侶に自宅や会場まで出向いてもらったときに交通費として包むものです。こちらがお寺へ出向く形なら、この項目そのものが当てはまりません。同じように御膳料は、法要後の会食を僧侶が辞退されたときに包むもので、会食を営まない場合や僧侶が同席される場合は用意しません。どちらも地域や寺院とのお付き合いで扱いが変わるため、迷ったら菩提寺に確認してください。
お布施の表書きは薄墨で書きますか?
普通の濃さの墨で書くのが一般的とされています。薄墨は香典など弔意を表す場面の慣わしで、お布施はお寺への感謝として渡すものだからです。表書きは「御布施」とし、その下に施主の姓名を書きます。
出典
