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作法

終活・墓じまい

墓じまいの費用相場|内訳と安く抑える方法【出典つき】

墓じまいの費用相場|内訳と安く抑える方法【出典つき】
この記事のまとめ

墓じまいの費用は、墓石の撤去工事・お寺へのお布施・行政手続き・新しい納骨先の4つで構成されます。総額の公的な統計は存在しません。出典を確認できた調査データと一部の自治体にある補助金制度、見積もりでの確かめ方だけをまとめました。

結論

墓じまいの費用は「墓石の撤去工事」「お寺へのお布施」「改葬の行政手続き」「新しい納骨先」の4つの合計で決まります。総額の全国相場を示す公的な統計は存在しないため、「一式◯十万円」と言い切っている数字は根拠を確かめてください。確実なのは、撤去工事は複数の石材店の見積もりで、納骨先は料金表で、自分のケースの実額を出すことです。

先に全体像です。

  • 費用は4つの内訳の合計。それぞれ確かめ方が違う
  • 撤去工事費・お布施には、信頼できる全国統計がない(見積もりと寺院への確認で確かめる)
  • 新しい納骨先には公開調査のデータがある(樹木葬の平均購入価格71.7万円など・2026年公表)
  • 全国共通の補助金はないが、一部の自治体に公営墓地の返還者向けの助成制度がある(太田市・市川市など)
  • 費用を誰が負担するかを定めた法律はない。お墓を継いだ人(祭祀承継者)が中心になることが多いが、親族での分担もよくある
  • 離檀料のトラブルは書面と消費生活センターで対処できる

墓じまいの費用|4つの内訳

墓じまいは、2023年度に全国で166,886件行われた改葬(お墓の引っ越し)を含む一連の作業です(厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」)。かかる費用は次の4つに分解できます。

内訳支払い先全国的な相場データ
1. 墓石の撤去・区画の返還工事石材店確認できる公的・公開統計なし
2. 閉眼供養・離檀にともなうお布施寺院一次統計なし(お布施に定価はない)
3. 改葬許可などの行政手続き市区町村手数料は自治体ごとに異なる
4. 新しい納骨先の費用霊園・寺院など公開調査データあり(後述)

「墓じまい一式◯万円」という総額をうたう情報も見かけますが、出典が確認できる全国統計は見当たりません。内訳ごとに、確かめられるものだけを見ていきます。

1. 墓石の撤去工事費|統計はない。複数見積もりで確かめる

撤去工事費の全国調査データは、確認できる範囲では存在しません。実際の金額は次の要素で大きく動きます。

  • 区画の広さと墓石の量(撤去して処分する石の体積)
  • 重機・トラックが墓地のそばまで入れるか(入れないと人力作業が増えます)
  • 基礎(コンクリート)の解体や整地の範囲

だからこそ、確かめ方が大切です。霊園や寺院墓地では石材店が指定されている場合があるため、まず墓地の管理者に指定の有無を確認してください。指定がなければ、複数の石材店から「撤去・処分・整地・諸経費」の内訳が書かれた見積もりを取って比べます。内訳のない一式見積もりは、比較も交渉もできません。

2. お布施(閉眼供養・離檀のお礼)|定価はない

遺骨を取り出す前に行う閉眼供養(魂抜き)のお布施と、檀家をやめる際にお礼として包むお金(いわゆる離檀料)には、決まった金額がありません。

全日本仏教会は、お布施を読経などへの「対価」として価格表示することに対し、削除を要請した経緯があります(2011年)。お布施はサービス料金ではなく寺院への感謝を包むもの、というのが仏教界の立場です。法要別のお布施金額を集計した信頼できる一次統計も、確認できていません。

出典: 全日本仏教会「『葬儀本.com』に掲載されているお布施の価格一覧に対して削除の要請」(2011年) https://www.jbf.ne.jp/info/detail?id=14230

迷ったら、菩提寺に「皆さまどのくらい包まれていますか」と直接尋ねて差し支えありません。聞きにくければ、親族の年長者や地域の慣習に詳しい方に確認する方法もあります。袋の書き方や渡し方はお布施の相場と渡し方にまとめています。

3. 行政手続きの費用|自治体で異なる

改葬には市区町村長の許可が必要で、申請書には墓地の管理者が作成した埋蔵の事実を証する書面などを添付します(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条)。

手続きにかかるお金は、改葬許可の手数料や証明書類の発行料などですが、金額は自治体によって異なります。申請先(今のお墓がある市区町村)の窓口かサイトで確認してください。4つの内訳の中では最も小さい支出で、手続き自体は代行業者に頼まなくても自分でできます。手順の全体像は墓じまいとは|手順・費用・親族との進め方で解説しています。

4. 新しい納骨先の費用|公開調査のデータがある

唯一、全国規模の公開調査データがあるのがこの部分です。株式会社鎌倉新書が2026年に公表した「第17回 お墓の消費者全国実態調査」(2025年にお墓を購入した1,267人が対象)では、お墓の種類別の平均購入価格は次のとおりでした。

お墓の種類平均購入価格
樹木葬71.7万円
納骨堂81.5万円
一般墓152.0万円

※ お墓のポータルサイト「いいお墓」経由で購入した方への調査。地域や区画によって実際の価格は大きく変わります。

出典: 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」 https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/12153/

同じ調査では、購入したお墓の種類は樹木葬が47.4%で最も多く、合祀墓・合葬墓が16.4%と続きます。墓じまい後の移り先として、承継を前提としないお墓が選ばれている実態が見えます。

移り先の形式は費用を最も大きく左右します。最初から他の方の遺骨と一緒に埋葬する合祀型は費用を抑えやすい一方、後から遺骨を取り出せません。形式ごとの違いは永代供養とは樹木葬とはで確認してください。

離檀料のトラブル|書面と相談窓口で守る

国民生活センターに寄せられたお墓に関する相談は、2022年度1,148件、2023年度1,044件、2024年度1,013件と、毎年1,000件前後で推移しています。公表されている事例には、お墓を移そうとしたところ高額な離檀料を求められ、話が進まなくなったというものがあります。

出典: 国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」(2025年8月更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html

もめてしまったときの対処は次の3つです。

  1. 口頭でのやり取りをやめ、書面やメールで記録を残す
  2. 金額の根拠(何に対するお礼・費用なのか)の説明を求める
  3. 折り合えないときは、お住まいの自治体の消費生活センターに相談する

離檀料を義務づける法律はありません。ただ、長年供養を続けてくれた寺院への感謝は、円満に話を進める土台でもあります。最初から「払わない」と構えるのではなく、感謝を伝えたうえで、納得できる形を話し合ってください。

墓じまいの費用は誰が負担する?

墓じまいの費用を誰が払うかを定めた法律はありません。ただ、お墓(墳墓)や仏壇などの祭祀財産は、民法897条で「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」(祭祀承継者)が承継すると定められています。実際には、お墓を引き継いだこの承継者が中心になって負担することが多いようです。

出典: e-Gov法令検索「民法」第897条(祭祀に関する権利の承継) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

とはいえ、これはお墓を「継ぐ人」を決めるルールであって、費用を1人で背負う義務を定めたものではありません。撤去工事に新しい納骨先にと、まとまったお金が一度に動きます。兄弟姉妹で等分する、遺骨を移す人が多めに持つなど、分担のかたちは家によってさまざまです。

揉めやすいのも、この「誰がどれだけ出すか」です。工事の見積もりを取る前に、総額の見通しを親族で共有し、負担の割り振りを先に話しておくと、後からの行き違いを防げます。

墓じまいの補助金|一部の自治体が公営墓地向けに設けている

国の制度として墓じまい全般を対象にした補助金は、確認できる範囲では存在しません。あるのは、一部の自治体が自分たちの運営する公営墓地の無縁化対策として設けている、返還者向けの助成制度です。自治体の公式サイトで内容を確認できた制度を2つ挙げます(2026年7月時点)。

群馬県太田市|八王子山公園墓地の墓石撤去費用助成金

太田市は、八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、墓地を返還するときの墓石撤去費用を助成しています。

  • 対象: 2019年(平成31年)4月1日以降に返還届を提出し、墓石の撤去を完了した利用者。墓地の管理料に滞納がないこと
  • 金額: 祭祀費用(納骨の祈祷・法要など撤去に直接関わらない費用)を除く墓石撤去費用の総額か、20万円のいずれか低い方
  • 申請: 撤去完了後に、工事の明細書と領収書を添えて申請する。返還届と同時には申請できない

出典: 太田市「八王子山公園墓地」(花と緑の課・墓石撤去費用助成金の概要) https://www.city.ota.gunma.jp/page/1251.html

千葉県市川市|市川市霊園一般墓地返還促進事業

市川市は、市川市霊園の一般墓地の使用許可を受けている方が墓地を返還する場合に、3つの支援を組み合わせた制度を用意しています。

  • 原状回復(墓石の撤去・更地化)費用の助成。限度額は区画の種類と広さにより75,000円〜440,000円
  • 納付した墓地使用料の一部返還
  • 特例として、公募によらず市川市霊園の合葬式墓地に遺骨を移せる(生前・遺骨あわせて2体まで)

ただしこの制度は、令和8年(2026年)5月22日時点で「予算額に達したため受付を終了」しています。年度の予算がなくなれば締め切られるという、この種の制度の性格がよく表れた例です。

出典: 市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」 https://www.city.ichikawa.lg.jp/pub01/1521000001.html

使うときの注意点

  1. 対象はその自治体の公営墓地の使用者だけです。太田市の概要にも「他墓地の墓石撤去費用は対象となりません」と明記されています。民間霊園や寺院墓地の墓じまいに使える補助金は、確認できる範囲では見当たりません
  2. 年度の予算に達すると受付が終わります(市川市の例)。撤去工事を始める前に、募集状況を担当窓口で確かめてください
  3. 「どの自治体でも補助金がもらえる」かのように書かれた情報には、出典が示されていないことがほとんどです。「自治体名+墓地 返還 助成」で公式サイトを調べるか、今のお墓がある自治体の墓地・霊園の担当課に直接尋ねるのが確実です

費用を安く抑える3つの方法

  1. 撤去工事は複数の見積もりで比べる — 指定石材店の有無を確認したうえで、内訳つきの見積もりを2〜3社から取る
  2. 移り先の形式を見直す — 個別の区画にこだわらなければ、合祀型・集合型で費用を抑えられる可能性があります。ただし合祀後は遺骨を取り出せない点を親族と共有してから決めてください
  3. 自治体の窓口で制度を確認する — 前の章の助成制度のほか、公営霊園の合葬式墓地の募集や、改葬関連の案内を用意している自治体があります。移転先の候補地の自治体にも確認する価値があります

金額に関する注意

この記事に載せた数値は、出典を確認できた公開調査・公的資料のものだけです。撤去工事費やお布施のように統計が存在しない費用は、金額を示す代わりに確かめ方を書いています。実際の費用は、お墓の状態・地域・寺院との関係によって大きく異なります。

関連ページ

#墓じまい #費用 #離檀料 #改葬

よくある質問

墓じまいの総額はいくらぐらいかかりますか?

総額の全国相場を示す公的な統計は、確認できる範囲では存在しません。費用は「墓石の撤去工事」「閉眼供養などのお布施」「改葬の行政手続き」「新しい納骨先」の4つの合計で決まり、お墓の広さ・立地・移した先の形式によって大きく変わります。撤去工事は複数の石材店の見積もり、納骨先は資料の料金表で、自分のケースの実額を確かめてください。

墓石の撤去工事費の相場はいくらですか?

撤去工事費の全国的な調査データは確認できませんでした。金額は、区画の広さ、石の量、重機やトラックが墓地のそばまで入れるかどうかで大きく変わります。霊園によっては石材店が指定されている場合があるため、まず墓地の管理者に確認し、指定がなければ複数の石材店から内訳つきの見積もりを取るのが確実です。

閉眼供養のお布施はいくら包めばいいですか?

お布施には決まった金額がありません。全日本仏教会は、お布施は読経などへの対価ではないという立場を示しています。法要別の金額を集計した信頼できる一次統計も確認できていません。迷ったら、菩提寺に「皆さまどのくらい包まれていますか」と直接尋ねるか、親族の年長者に確認するのが確実です。

改葬許可の申請にお金はかかりますか?

手数料は自治体によって異なるため、一律には言えません。申請先(今のお墓がある市区町村)の窓口かサイトで確認してください。行政手続きの費用は墓じまい全体の中では小さな支出で、書類の準備自体は代行を頼まなくても自分でできる手続きです。

墓じまいに補助金はありますか?

国の制度として墓じまい全般を対象にした補助金は、確認できる範囲では存在しません。一部の自治体が、公営墓地の無縁化対策として返還者向けの助成制度を設けています。例えば群馬県太田市は八王子山公園墓地の墓石撤去費用を上限20万円で助成し、千葉県市川市は市川市霊園の原状回復費用を区画に応じて上限7万5千円〜44万円で助成する制度を設けています(市川市は令和8年5月時点で予算に達し受付終了)。対象はその自治体の公営墓地の使用者に限られるため、今のお墓がある自治体の公式サイトか窓口で確認してください。

墓じまいの費用は誰が払うのですか?

費用の負担者を定めた法律はありません。お墓や仏壇などの祭祀財産は、民法897条により「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」(祭祀承継者)が承継すると定められており、実際にはお墓を引き継いだこの承継者が中心になって負担することが多いとされています。ただし1人で負担する義務まで定めた規定ではないため、兄弟姉妹など親族で分担することもよくあります。まとまった費用が動くので、工事の見積もりを取る前に総額の見通しを共有し、誰がどう出すかを話し合っておくと安心です。

高額な離檀料を請求されました。払う義務はありますか?

離檀料を義務づける法律はありません。国民生活センターには、お墓に関する相談が毎年1,000件前後寄せられており、公表事例には高額な離檀料を求められて改葬の話が進まないというものがあります。金額に納得できないときは、口頭ではなく書面でやり取りを残し、お住まいの自治体の消費生活センターに相談する方法があります。

出典

  1. 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
  2. 国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」(2025年8月更新)
  3. e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(昭和23年厚生省令第24号)
  4. 全日本仏教会「『葬儀本.com』に掲載されているお布施の価格一覧に対して削除の要請」(2011年)
  5. 厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」第6表(埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数)/政府統計の総合窓口(e-Stat)
  6. 太田市「八王子山公園墓地」墓石撤去費用助成金(花と緑の課)
  7. 市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」
  8. e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第897条(祭祀に関する権利の承継)