香典のお札は、肖像のある面を伏せた裏向きで、肖像が袋の下側にくるように入れる慣習が広く紹介されています。ただし業界団体の公式マナー解説に向きの定めはありません。確実に守りたいのは、新札を避けることと4・9・偶数を避けること。中袋なし・中包みの場合も解説します。
広く紹介されている入れ方は「お札は裏向き(肖像を伏せる)、肖像が袋の下側」です。ただし、この向きは業界団体の公式マナー解説には定めがなく、地域差もある慣習です。それよりも確実に守りたいのは、新札を入れないこと(あれば折り目をつける)と、4・9・偶数の金額を避けること。この2つは全葬連・全互協の解説に明記されています。
袋に入れる直前のチェックは、この4点です。
- お札の向き → 裏向き(肖像を伏せる)・肖像が下、が広く紹介される形
- 新札 → 使わない。あれば折り目をつける
- 金額 → 4・9・偶数を避ける(2千円・2万円は可とされる)
- 枚数 → 向きをそろえ、お札の種類は統一する
このページは「袋の中身」の話に絞っています。表書きや名前の書き方は香典の書き方、中袋の金額の漢数字は香典の金額の書き方をご覧ください。
お札の向き|広く紹介されている入れ方
お札には表と裏があります。肖像(人物の絵)が描かれている面が表です。
葬儀社の解説(家族葬のファミーユ・1級葬祭ディレクター監修)では、香典のお札の入れ方は次のように案内されています。
- 表裏。表向きにした中袋に対し、お札は裏向き(肖像が描かれていない面が表)にして入れる
- 上下。肖像がある方が中袋の下にくるように入れる
- 複数枚入れるときは、すべての向きをそろえる
正面から肖像が見えない状態にするのは、故人へのお悔やみや、訃報に悲しみに暮れていることを表すためと説明されています。
出典: 家族葬のファミーユ「香典の正しい入れ方。中袋の有無による違いとお札のマナー」 https://www.famille-kazokusou.com/magazine/manner/520
「正式な決まり」はあるのか
正直にお伝えすると、お札の向きについて、葬祭業界の全国団体である全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)と全互協(全日本冠婚葬祭互助協会)の公式マナー解説には、向きの定めの記載が見当たりません(2026年7月時点で両団体の香典マナーページを確認)。
つまりお札の向きは、「守らないと失礼にあたる規則」ではなく、広く共有されてきた慣習です。前述のファミーユの解説でも、上下については「地域によっては逆に入れるのがマナーとされることもある」と添えられています。
向きを整えて入れられればていねいですが、受付の直前に気づいて入れ直せないとしても、気に病むことはありません。公式の解説がはっきり「避ける」としているのは、次の新札と金額のほうです。
新札は使わない|あれば折り目をつける
全互協のマナー解説では「香典には新札は使いません」と明記されています。全葬連の解説では、新札は事前に準備していたと受け取られる可能性があるため、一度折り目をつけてから包むのがマナーとされています。
手元に新札しかないときは、軽く折り目を入れてから袋に入れれば大丈夫です。反対に、シワだらけのお札や破れたお札も失礼とされるため、適度に使用感のあるお札を選びます(ファミーユの解説より)。
出典: 全互協「お葬式のマナー」 https://www.zengokyo.or.jp/manner/funeral/ 出典: 全葬連「香典の相場もこれで安心!」 https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary16/
金額と枚数のタブー
全互協の解説では、金額について「4」「9」や偶数はタブーとされています(ただし2千円と2万円はかまわないとされています)。4は死、9は苦を連想させ、偶数は割り切れる=縁が切れることを連想させるためです。
枚数の面でも、4枚・9枚を避けて奇数にし、お札の種類を統一するのがよいとされています(ファミーユの解説)。5,000円なら五千円札1枚、または千円札5枚のどちらかにそろえ、混ぜないという考え方です。数える側のご遺族の負担を考えると、枚数の少ないほうが親切です。
いくら包むか自体に迷っている方は、全互協の実態調査(第6回・令和3年度)にもとづく香典相場診断と香典相場早見表で、続柄・年代別の目安を確認できます。
袋のタイプ別・入れる手順
香典袋は「中袋あり」「中袋なし」「中包み(奉書紙)」の3タイプがあります。入れ方の考え方はどれも同じで、袋の表に対してお札が裏向きになるようにします(ファミーユの解説より)。
中袋ありの場合
- 中袋を表(金額を書く面)向きに持つ
- お札を裏向き(肖像を伏せる)にし、肖像が下にくる向きで入れる
- 中袋を外袋で包む
中袋なしの場合
外袋に直接お札を入れます。向きの考え方は中袋ありと同じで、袋を表向きにしたとき、お札が裏向きになるようにします。金額や住所は袋の裏面に書きます。書く位置は香典の書き方で図解しています。
中包み(奉書紙)の場合
奉書紙でお札を包むタイプは、紙の表裏から確認します。ツルツルした面が表、ザラザラした面が裏です。ファミーユの解説では次の手順が案内されています。
- 奉書紙を、裏面(ザラザラした面)が上になるように置く
- その上にお札を、表面(肖像の面)が下になるように置く
- 下→左→右の順に折りたたむ
- 最後に上を折り、余った部分を隙間に折り込む
外袋のたたみ方は「下を折ってから上をかぶせる」
中袋を外袋で包み直すときは、折り返しの順番に注意してください。ファミーユの解説では、下から先に折り返し、上の折り返しをあとからかぶせて、下側に上側が重なるようにすると案内されています。慶事のご祝儀袋とは重ね方が逆になるため、ここは間違えやすいポイントです。
封・のり付けはしない(郵送だけ例外)
お札を入れたあと、中袋をのりで封する必要はありません。開けるのに時間がかかり、ご遺族の負担になるためです。「〆」のシールが付属していても、使わないほうが親切とされています。中袋のない袋では、封字「〆」または「緘」をペンで書く方法が紹介されています(ファミーユの解説)。
例外は郵送です。現金書留で送る場合は、手紙が落ちないようのり付けが必要とされています。郵送の手順と料金は香典の郵送マナーにまとめています。
地域・慣習による違い
お札の向きやたたみ方の細部は、地域や家ごとの慣習によって異なる場合があります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、親族の年長者や葬儀社に確認するのが確実です。
入れ終わったら、次は渡し方です。袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付で一言添えて渡します。流れは香典の渡し方へ。
関連ページ
よくある質問
手元に新札しかないときはどうすればいいですか?
一度折り目をつけてから入れれば問題ないとされています。全葬連の解説でも、新札は事前に準備していたと受け取られる可能性があるため、折り目をつけてから包むのがマナーと案内されています。逆に、破れやシワだらけのお札も避け、適度に使用感のあるお札を選ぶのがよいとされています。
お札の向きを間違えて渡してしまいました。失礼にあたりますか?
気に病む必要はありません。お札の向きは広く紹介されている慣習ですが、全葬連や全互協の公式マナー解説に向きの定めは見当たらず、地域によっては逆に入れる慣習もあるとされています。香典で確実に守りたいのは、新札を避けることと4・9・偶数の金額を避けることのほうです。
5,000円を包むとき、千円札5枚でもいいですか?
間違いではありませんが、五千円札1枚のほうが受け取ったご遺族が数えやすいとされています。葬儀社(家族葬のファミーユ)の解説では、香典を数える遺族の負担を考えて、できる限り1枚にまとめ、入れるお札の種類は統一するのがマナーと案内されています。
香典の金額で偶数はタブーと聞きましたが、2万円もだめですか?
全互協のマナー解説では、4・9や偶数の金額はタブーとされる一方、2千円と2万円はかまわないとされています。金額そのものに迷っている場合は、続柄と年代別の調査データをもとにした香典相場診断で目安を確認できます。
お札を入れたあと、中袋はのり付けしますか?
手渡しする場合はのり付け不要とされています。開封に手間がかかりご遺族の負担になるためです。中袋のない香典袋では、封字「〆」をペンで書く方法が紹介されています。なお現金書留で郵送する場合だけは、中身が落ちないようのり付けが必要とされています。
出典