お布施の封筒に書くのは、表面上段の「御布施」、表面下段の施主の姓、中袋表の金額、中袋裏の住所氏名の4か所です。墨は薄墨にせず濃い黒で書きます。書く場所ごとの早見表と、袋の選び方・お札の向きまでまとめました。
お布施の封筒に書くのは4か所です。①表面の上段中央に「御布施」、②表面の下段中央に施主の姓(〇〇家)かフルネーム、③中袋の表に包んだ金額、④中袋の裏の左下に住所と氏名。墨は香典と違って薄墨にせず、濃い黒で書きます。袋は白無地の一重封筒、より丁寧にするなら奉書紙。お札は肖像画のある面を袋の表側に向けて入れます。
お布施は、参列者がご遺族に渡す香典と違って、施主が寺院へ差し出すお礼です。相手が変われば作法も変わり、香典で身についた「薄墨で書く」「新札は避ける」の2つは、お布施では使いません。逆になるのはこの2点で、残りは書く場所を上から順に埋めていけば形になります。
間違えやすいのは、次の3つです。
- 表書きは「御布施」。濃い黒の墨で書く(薄墨は香典の作法)
- 下段に書くのは渡す相手ではなく、施主である自分の姓か氏名
- お札は新札で、肖像画のある面を袋の表側・上部に向けて入れる
このページで扱う範囲
扱うのは、袋を選ぶところからお札を入れ終えるまでです。いくら包むかの考え方と、当日どのタイミングで切手盆に載せて差し出すかはお布施の相場と渡し方にあります。金額がまだなら、順番としてはそちらが先になります。
香典袋の書き方を探してこのページに来られた方は、香典の書き方をご覧ください。
封筒のどこに何を書くか(早見表)
書く場所ごとに、内容と注意点をまとめました。中袋のあるタイプを使う前提で、中袋がない場合は最終行のとおりです。
| 書く場所 | 書く内容 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 表面・上段中央 | 御布施(またはお布施) | 濃い黒の墨で縦書き。「御布施」と印刷された市販の袋なら書き足さなくてよい |
| 表面・下段中央 | 施主の姓(〇〇家)またはフルネーム | 上段の表書きより少し小さめの字で書く |
| 中袋・表の中央 | 包んだ金額 | 頭に「金」、末尾に「也」を添える。数字は旧字体(大字)で縦書き |
| 中袋・裏の左下 | 施主の住所と氏名 | 郵便番号・番地・部屋番号まで省略しない |
| 中袋がないとき | 封筒の裏面に住所と金額 | 白封筒1枚で包む場合は裏面にまとめて記入する |
出典: 小さなお葬式「お布施に使う袋はどれを選ぶ?」「お布施袋の中袋の正しい書き方とマナーを解説」/イオンのお葬式「お布施とは?書き方や渡し方、金額を解説」/よりそう「その袋で大丈夫?お布施袋に関するマナーまとめ」。書き方の細部は地域や寺院、宗派によって異なります。
どの袋を使うか
袋には格の違いがあります。手元にあるもので迷ったら、次の3つのどれかに当てはめてください。
| 袋の種類 | どんなときに使うか | 水引 |
|---|---|---|
| 奉書紙(ほうしょし) | もっとも正式で丁寧とされる形。半紙で包んだお札をさらに包む | かけない |
| 白無地の封筒 | 広く使われる形。郵便番号欄のない、一重のものを選ぶ | かけない |
| のし袋(金封) | 奉書紙も白封筒も用意できないとき | 双銀か黄白の結び切り・あわじ結び |
水引について、小さなお葬式の解説では、お布施は僧侶に読経してもらったことへの感謝を形にしたものなので水引は必要ないとされています。地域によっては黒白や黄白の水引をかける慣習も残っているため、迷ったら地域の葬儀社に確認してください。
白封筒を選ぶときの注意が1つあります。よりそうの解説では、内側にもう一枚紙が重なった二重封筒は「不幸ごとが重なる」と連想されるため使わず、一重のものを用意するとされています。売り場では封筒の口を軽く開いて、内側に紙がもう一枚ないか確かめると見分けられます。
表書きと名前|上段と下段で書き分ける
表面の上段中央に「御布施」または「お布施」と縦書きします。下段には施主の姓を書きます。「〇〇家」でも、フルネームでも差し支えありません。イオンのお葬式の解説では、名前は「御布施」の文字より少し小さめに書くと案内されています。
下段に書くのは、渡す相手である寺院や僧侶の名前ではなく、渡す側である施主の名前です。封筒に宛名を書く欄はありません。
表書きの言葉そのものについては、宗派から案内が出ている場合があります。曹洞宗の「法事の営み方」でも、「御布施(おふせ)」は葬儀や法事でお寺や僧侶へのお礼の金包みに使う語として説明されています。浄土真宗本願寺派の仏事Q&Aでは、僧侶に差し出す金封に書く「御布施」は寺院の御本尊にお供えするためのものであり、「御礼」「御経料」「回向料」といった表記は趣旨から言ってふさわしくないとされています。表書きに迷ったら「御布施」を選んでおけば大きく外れません。
墨は濃い黒を使います。香典で使う薄墨は、悲しみの涙で墨が薄まったことを表す作法とされ、寺院へのお礼であるお布施には当てはまらないと考えられているためです。イオンのお葬式の解説でも、黒墨で、毛筆か筆ペンを使って書くと案内されています。
中袋の書き方|表に金額、裏に住所
中袋の表の中央に、包んだ金額を縦書きします。小さなお葬式の解説では、頭に「金」を付け、末尾に「也」を添え、数字は旧字体(大字)で書くとされています。壱・参・伍・萬・圓といった字の形は、香典の金額の書き方の一覧で確認できます(一覧は香典の記事の中にありますが、字そのものは弔事・慶事で共通です)。
中袋の裏面には、施主の住所と氏名を書きます。書く位置は裏面の左下です。郵便番号や部屋番号まで省略せずに書いておくと、寺院側で受け取りを整理するときに困りません。
中袋のない白封筒1枚で包む場合、よりそうの解説では封筒の裏面に住所と包んだ金額を記入するとされています。中袋が手元になくて迷ったときは、小さなお葬式の解説で、封筒に糊付けしておくほうが失礼にあたらない場合が多いと案内されています(糊付けそのものに明確な決まりはないとされています)。
お札の入れ方|新札を、肖像画は表・上向きに
お布施に入れるお札は新札で問題ありません。よりそうの解説では、香典と違いお布施には新札を入れるとされ、イオンのお葬式の解説でもできるだけ新札を用意するのが望ましいと案内されています。香典で新札を避けるのは「不幸を予期して用意していた」と受け取られないためで、寺院へのお礼にはこの理由が当てはまらないからです。
向きは、そろえる→表を合わせる→上下を決める、の順に3つに分けると迷いにくくなります。
| 順 | すること | 迷いやすいところ |
|---|---|---|
| 1 | 複数枚の向きをそろえる | 1枚ずつ入れると2と3を取り違える |
| 2 | 肖像画の面を袋の表側へ | 表は肖像画のある側 |
| 3 | 肖像画を袋の上部へ向ける | 上部は封をする側 |
3つとも出典は小さなお葬式「正しいお布施の包み方は?書き方や渡し方まで徹底解説!」です。同じ解説では、額面の文字が印刷されている側(肖像画の反対側)から封筒に入れると、肖像画が封をする側にくると説明されています。
奉書紙で包む場合
もっとも丁寧な形が奉書紙です。小さなお葬式の解説では、半紙で包んだお札を奉書紙でさらに包む手順とされ、奉書紙はつるつるした面が表、ざらざらした面が裏なので、包むときは裏面(ざらざらした側)にお札を置くと説明されています。
よりそうの解説では、中袋を奉書紙の中央に置き、左・右・下・上の順に折って仕上げるとされています。重ね方についても同じ解説に、お布施は寺院の住職に渡すもので不祝儀ではないため、弔事のような上包みにする必要はなく、慶事と同じく上側の折り返しに下側をかぶせる、と書かれています。ただし折る順番のとおりなら上が外側、重ね方の説明のとおりなら下が外側になり、どちらが最後に外へ来るのかはこの解説からは読み取れません。包み終えた形に自信が持てないときは、寺院や葬儀社に見せて確かめてください。
奉書紙は文具店や書道用品店で手に入りますが、手元になければ白無地の封筒で差し支えありません。形を整えることより、当日までに用意が間に合うことのほうが実務では大切です。
書き終わったら|最終チェック
封筒を閉じる前に6か所を見ます。左が確かめること、真ん中がそこで起きやすい取り違えです。取り違えの多くは、香典の作法をそのまま持ち込んだときに起こります。
| 確かめること | 起きやすい取り違え | 根拠にした解説 |
|---|---|---|
| 上段の表書き | 「御礼」「御経料」にする | 浄土真宗本願寺派 仏事Q&A |
| 下段の名前 | 寺院名・僧侶名を書く | 小さなお葬式/イオンのお葬式 |
| 墨の色 | 香典と同じ薄墨で書く | イオンのお葬式 |
| 中袋の裏 | 住所と氏名を落とす | 小さなお葬式 |
| お札 | 折り目をつけた古札にする | よりそう/イオンのお葬式 |
| 封筒 | 二重封筒をそのまま使う | よりそう |
墨とお札の2行は、香典とお布施で作法が逆になるところです。香典の側の扱いは香典の書き方と香典のお札の入れ方にまとめました。二重封筒を避けるのは、不幸ごとが重なると連想されるためとされています。
書き終えたら、渡すまで袱紗(ふくさ)に包んでおきます。袱紗の色の選び方と包み方は袱紗とはで図解しています。当日は手渡しを避け、切手盆か袱紗に載せて差し出します。渡すタイミングはお布施の相場と渡し方にまとめました。
宗派・地域による違い
お布施の袋の格や表書き、包み方は、宗派だけでなく地域や寺院、家ごとの慣習によっても異なります。この記事は宗派の公式案内と大手葬儀社の解説に基づく一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や式を担当する葬儀社に確認するのが確実です。
よくある質問
お布施の封筒は、白い無地の封筒でもいいですか?
問題ないとされています。小さなお葬式の解説では、郵便番号を記載する欄など不要な印字のない無地の白封筒を選ぶよう案内されています。よりそうの解説では、内側にもう一枚紙が重なった二重封筒は「不幸ごとが重なる」と連想されるため使わず、一重のものを用意するとされています。もっとも正式な形は奉書紙で包む方法です。
お布施に中袋は必要ですか?中袋がないときはどこに書きますか?
中袋がなくても差し支えないとされています。中袋があるタイプでは、表に金額、裏の左下に住所と氏名を書きます。中袋のない白封筒を使う場合、よりそうの解説では封筒の裏面に住所と包んだ金額を記入するとされています。小さなお葬式の解説では、中袋が用意できないときは封筒に糊付けしておくほうが失礼にあたらない場合が多いと案内されています。
お布施の表書きは薄墨で書きますか?
薄墨にはせず、濃い黒の墨で書くのが一般的とされています。薄墨は悲しみで墨が薄まったことを表す香典の作法で、寺院へのお礼であるお布施には当てはまらないと考えられているためです。イオンのお葬式の解説でも、黒墨で、毛筆か筆ペンを使って書くと案内されています。
お布施のお札は新札でもいいですか。向きはどうしますか?
新札で問題ないとされています。よりそうの解説では、香典と違いお布施は新札を入れるとされ、イオンのお葬式の解説でもできるだけ新札を用意するのが望ましいと案内されています。向きは、お札の肖像画がある面が袋の表側にきて、肖像画が袋の上部を向くようにそろえます。
表書きは「御布施」以外でもいいですか?「御礼」「御経料」は使えますか?
宗派によっては避けるよう案内されています。浄土真宗本願寺派の仏事Q&Aでは、僧侶に差し出す金封に書く「御布施」は寺院の御本尊にお供えするためのものであり、「御礼」「御経料」「回向料」などは趣旨から言ってふさわしくないとされています。表書きに迷ったら「御布施」を選べば大きく外れません。
出典