初盆(新盆)に招かれて参列するときの香典は、表書きを「御仏前」または「御供物料」とし、故人との関係と会食の有無をふまえて金額を決めるのが一般的です。初盆は四十九日を過ぎた法要のため御仏前を使い、金額はほかの法要より高めになる傾向があるとされています。続柄と年代からの目安は香典相場診断で確認できます。
初盆(はつぼん)と新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)は同じ行事の呼び分けで、どちらで検索しても答えは変わりません。このページは、初盆に招かれて参列する側の香典をまとめています。施主として初盆を準備する側の段取り(白提灯・法要・お布施など)は、初盆(新盆)とはをご覧ください。
要点は次の5つです。
- 表書きは「御仏前」。宗派を問わず使うなら「御供物料」が無難
- 初盆の香典は、ほかの法要より高めになる傾向がある(全葬連の解説)
- 金額は「故人との関係」と「会食に出るかどうか」で決める
- 香典とお供え物は別物。両方持参する場合はのし表書きを分ける
- 数字で目安を知りたいときは香典相場診断へ
初盆の香典金額はどう決める?
初盆の香典に、全国一律の決まった金額はありません。決めるときの軸は、ほかの法要と同じく次の2つです。
- 故人との関係の深さ。血縁が近いほど多く包むのが通例です
- 会食(お斎・おとき)の有無。法要後の会食に出席する場合は、施主が負担する食事代をふまえて多めに包む配慮が広く行われています
そのうえで、初盆ならではの事情があります。全葬連の解説では、初盆の香典は四十九日やその他の法要よりも高くなる傾向があるとされています。故人が亡くなって初めて迎えるお盆で、親族にとって大切な法要と位置づけられるためです。
夫婦や家族で参列する場合は、香典袋を連名で1つにまとめ、会食に出る人数分も考慮する、というのが一般的な考え方です。
このページの金額データについて
初盆など法要の香典だけを集計した、出典を示せる全国調査は現時点で確認できていません。そのため、このページでは初盆の香典の「相場○円」という断定はしていません。次の章の表は、通夜・葬儀のときに参列者が実際に包んだ香典の調査データ(葬儀時の調査)です。関係の深さと金額の対応をつかむ参考としてご覧ください。
参考データ:葬儀時の調査に見る関係別の香典
一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が葬儀の会葬者5,177名から回答を得た「第6回 香典に関するアンケート調査」(令和3年度実施)では、故人との関係別の香典は次のとおりでした。
| 故人との関係 | 最多回答額 | 平均額 |
|---|---|---|
| 祖父母 | 5,000円 | 14,942円 |
| 親(実親・義理の親) | 100,000円 | 59,711円 |
| 兄弟・姉妹 | 50,000円 | 45,452円 |
| おじ・おば | 10,000円 | 18,285円 |
| 上記以外の親戚 | 10,000円 | 17,000円 |
| 友人またはその家族 | 5,000円 | 6,649円 |
出典: 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会「第6回 香典に関するアンケート調査」(令和3年度実施)
これは葬儀時の調査であり、初盆の金額そのものではありません。ただ「関係が近いほど多く包む」という骨格は初盆でも変わりません。初盆は高めになる傾向がある、という全葬連の指摘とあわせて、目安の当たりをつけるのに使えます。年代別の全データは香典相場早見表にまとめています。
あなたの続柄・年代に合わせた目安は、香典相場診断で確認できます。
表書きは「御仏前」または「御供物料」
初盆の香典の表書きは、「御仏前(ごぶつぜん)」を使うのが一般的です。
仏教では四十九日を境に故人が仏になるという考え方から、四十九日までは「御霊前(ごれいぜん)」、それ以降の法要では「御仏前」と使い分けるのが通例です。初盆は四十九日を過ぎているため、御仏前を選べば迷いません。
宗派がわからない、または宗派を問わず無難にしたい場合は、「御供物料(おくもつりょう)」とすると使いやすくなります。
宗派・地域による違い
浄土真宗では、亡くなった方はすぐに仏になるという教えから、時期を問わず御仏前を使うのが一般的とされています。表書きや水引の慣習は宗派・地域・家によって異なるため、このページは一般的な例のご紹介です。迷ったときは親族の年長者や施主側に確認してください。
袋は黒白または双銀の結び切りの水引を目安に選びます。全葬連の解説では、結び切りは一度結ぶとほどけないことから、不幸が繰り返されないようにという願いが込められた形だと説明されています。地域によっては黄白の水引を使う慣習もあります。香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参します。色の選び方と包み方は袱紗とはで図解しています。
表書きの早見表|宗派・持ち物で書き分ける
初盆で用意するものと、宗派ごとの扱いを一枚にまとめました。「―」は、根拠にした解説に記載が見あたらなかったことを表します。
| 何を用意するか・どの宗派か | 表書き | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 仏式・四十九日より前(通夜・葬儀) | 御霊前 | 初盆は四十九日を過ぎた法要なので、この表書きは使わない |
| 仏式・四十九日以降の法要(初盆はここ) | 御仏前 | 「仏」を旧字で刷った「御佛前」の袋も読みと意味は同じ |
| 浄土真宗 | 御仏前 | 亡くなった時点で成仏すると考えるため、葬儀の時点から御仏前を使う |
| 浄土真宗以外の宗派(天台宗・真言宗・臨済宗・曹洞宗など) | 御仏前 | 四十九日を境に御霊前から切り替える使い分けが共通。宗派固有の慣わしは菩提寺へ |
| 宗派がわからない・宗派を問わず使いたい | 御供物料 | 迷ったときの逃げ道になる書き方 |
| お供え物(菓子・果物・線香など)に掛けるのし | 御供 | 香典とは別に用意する。表書きが違う |
| 招かれずに初盆の家へ伺うときのお供え | 新盆御見舞 | 現金にする場合は御仏前・御供。名古屋では御供が多い傾向とされる |
| 盆提灯を贈る代わりに包む現金 | 御提灯代 | ― |
| 表書きの墨の濃さ | ― | 薄墨が正式とされるが、近ごろは黒インクでも差し支えないとされる |
出典: 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは」、お仏壇のはせがわ「新盆見舞いとは?」
宗派がわかっていれば「御仏前」で足ります。わからないまま当日を迎えそうなときは「御供物料」にしておくと、宗派の確認が間に合わなくても失礼になりません。
金額と袋で、避けるとされること
初盆に限った慣わしではなく、香典全般の作法です。金額を決めたあと、袋に入れる前の最後の確認に使ってください。
| 迷いどころ | 慣わし | 理由として説明されていること |
|---|---|---|
| 金額の数字 | 「4」「9」のつく額と偶数は避ける。ただし2千円・2万円はかまわない | 4は「死」、9は「苦」を連想させるため |
| お札 | 新札は使わない | 事前に用意していたように受け取られるため |
| 墨 | 薄墨が正式。黒インクでも差し支えないとされる | 薄墨は弔意を表す慣わし |
| 持ち運び | 袱紗に包む。表を上にして右から包み、下から上の順に折る | 袋を傷めず、改まった形で渡すため |
出典: 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)「お葬式のマナー」、全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは」
香典とお供え物の違い
初盆で迷いやすいのが、「香典とお供え物のどちらを持って行くか」です。この2つは別物です。
- 香典 … 不祝儀袋に包む現金。表書きは「御仏前」「御供物料」
- お供え物 … 菓子・果物・線香など、供える品物。のし表書きは「御供(おそなえ)」
香典だけで問題ないとされていますが、地域や家によっては、香典に加えてお供え物も持参する慣習があります。両方持参する場合は、香典とお供え物でのし表書きが違う点に注意してください。お供え物は、日持ちのする菓子や、消えもの(線香・ろうそくなど)が選ばれることが多くあります。
持参するかどうかは、事前に施主や親族に確認しておくと行き違いがありません。祭壇に自分で直接供えるのは避け、施主に手渡しして託すのが一般的です。
新盆見舞いとは
初盆(新盆)を迎える家へお参りに伺うときに持参するお供え物を、「新盆見舞い(初盆見舞い)」と呼ぶことがあります。お仏壇のはせがわの解説では、故人と親しかった方や親族が新盆の家庭に伺ってお参りをすることで供養の気持ちを伝える風習があり、その際に持参するお供え物を新盆(初盆)見舞いと呼ぶと紹介されています。
同じ解説では、親族などが絵柄の入った盆提灯を贈るほか、好きな大きさや絵柄の提灯を選んでもらう意味で「御提灯代」として現金を贈る形もあると紹介されています。品物の表書きは「新盆御見舞」、現金は「御仏前」「御供」などが挙げられていますが、名古屋では御仏前より御供が多い傾向にあるとされるなど、呼び方も表書きも地域によって分かれます。
法要に招かれている場合は、このページで説明してきた香典(御仏前)を持参すれば十分です。新盆見舞いを別に用意するかどうかは地域や家の慣わしによるため、迷ったときは親族の年長者や地元の葬儀社に確認してください。盆提灯そのものの選び方や飾る時期は盆提灯はいつからいつまで?にまとめています。
早見表|持って行くものと、状況別の考え方
ここまでの内容を2つの表にまとめました。金額は表に入れていません。初盆の香典だけを集計した、出典を示せる全国調査を確認できていないためです。
「―」は、その項目が存在しないという意味ではなく、出典にした解説に記載が見あたらなかったことを表します。
| 持って行くもの | 中身 | 表書き | 渡し方・確かめること |
|---|---|---|---|
| 香典 | 不祝儀袋に包む現金 | 御仏前(宗派を問わないなら御供物料) | 会場で施主に挨拶するときに袱紗から出して手渡す |
| お供え物 | 菓子・果物・線香など | 御供 | 祭壇に自分で供えず施主に託す。持参するかは事前に確認 |
| 新盆見舞い | 初盆の家へ伺うときに持参するお供え物の呼び名 | 新盆御見舞(現金なら御仏前・御供) | 法要に招かれているなら香典で足りる |
| 御提灯代 | 盆提灯を贈る代わりに包む現金 | ―(御提灯代そのものの表書きの記載なし) | 提灯の大きさや絵柄を相手に選んでもらう意味 |
出典: 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは」、お仏壇のはせがわ「新盆見舞いとは?」
| 状況 | 用意するもの | 届け方 | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 法要に招かれて参列する | 香典(御仏前・御供物料) | 会場で施主へ手渡す | 会食に出るなら食事代をふまえて多めに |
| 夫婦・家族で参列する | 香典袋を連名で1つ | 会場で施主へ手渡す | 会食に出る人数分も考慮する |
| 招かれていないが偲びたい | 無理に香典を用意しなくてよい | お供え物や手紙を送る | 相手に気を遣わせない範囲で選ぶ |
| 伺えず現金を送る | 現金 | 現金書留 | お盆の時期に届くよう手配する |
当日の渡し方
香典を渡すタイミングは、会場に着いて施主に挨拶するときです。袱紗から取り出し、「本日はお招きいただきありがとうございます。御仏前にお供えください」と一言添えて、表書きを相手の向きに回して両手で渡します。
初盆は、葬儀と違って受付が設けられないことも多く、渡す相手は施主本人になるのが通常です。施主が進行で忙しくしている場合は、落ち着いたタイミングを待って渡せば問題ありません。
初盆そのものの流れも確認したい方へ
初盆がいつにあたるか、当日は何をするかを知りたい方は、初盆(新盆)とはで、時期の見分け方と準備の手順を説明しています。施主として営む側で、お寺へのお布施を用意する場合は初盆・お盆のお布施はいくら?をご覧ください。法要の香典全般は法事の香典相場に、香典マナーの全体像は香典のマナー総合ガイドにまとめています。
よくある質問
初盆の香典の表書きは何と書きますか?
四十九日を過ぎているため「御仏前(ごぶつぜん)」が一般的とされています。宗派や地域で扱いが異なる場合は「御供物料(おくもつりょう)」とすると、宗派を問わず使いやすくなります。なお浄土真宗では、亡くなった直後から御仏前を使うのが一般的です。迷ったときは親族や施主側に確認すると安心です。
初盆の香典は、ほかの法要より多めに包むのですか?
全葬連の解説では、初盆の香典は四十九日やその他の法要よりも高くなる傾向があるとされています。故人が亡くなって初めて迎えるお盆で、親族にとって大切な法要とされるためです。ただし金額は故人との関係や会食の有無で決まるもので、決まった額はありません。地域や家の慣習にもよるため、迷ったら親族の年長者に確認してください。
香典とお供え物は、両方持って行くべきですか?
香典だけで問題ないとされていますが、地域や家によっては、香典に加えて菓子・果物・線香などのお供え物を持参する慣習もあります。両方持参する場合、お供え物ののし表書きは「御供(おそなえ)」とし、香典とは分けて用意します。持参するかどうかは、事前に施主や親族に確認すると行き違いがありません。
初盆に会食(お斎)がある場合、香典は増やしますか?
会食に出席する場合は、施主が負担する食事代をふまえて多めに包む配慮が広く行われています。夫婦や家族で出席するなら、その人数分も考慮します。金額に決まりはありませんが、会食の有無は金額を左右する大きな要素です。案内状で会食の有無を確認してから用意すると迷いません。
初盆に招かれていないお宅へ、香典を送ってもいいですか?
招かれていない場合は、香典を無理に用意する必要はありません。故人を偲ぶ気持ちを伝えたいときは、お供え物や手紙を送る方法があります。現金を送る場合は現金書留を使い、お盆の時期に届くよう手配します。相手に気を遣わせない範囲で、関係に合った形を選んでください。
宗派によって初盆の香典の表書きは変わりますか?
全葬連の解説では、四十九日を境に「御霊前」から「御仏前」へ切り替えるのが浄土真宗以外の宗派に共通する使い分けとされています。初盆は四十九日を過ぎているため、宗派がわかっていれば「御仏前」で差し支えありません。浄土真宗は亡くなった時点から御仏前を使います。宗派がわからないときは「御供物料」にすると迷いません。同じ宗派でも寺院や地域で扱いが分かれることがあるので、気になるときは施主や菩提寺に確認してください。
初盆の香典は奇数の金額にしたほうがいいですか?
全互協は、香典では「4」「9」のつく額と偶数を避けるのがタブーとしたうえで、2千円と2万円はかまわないと案内しています。全葬連も4は「死」、9は「苦」を連想させるため避けると説明しています。初盆だけの決まりではなく、香典全般の慣わしです。金額そのものより、故人との関係と会食の有無で決めた額を、この慣わしに合わせて整える順番で考えると迷いません。
新盆見舞いとは何ですか?
初盆(新盆)を迎える家へお参りに伺う際に持参するお供え物を指す呼び名です。親族が盆提灯を贈る、提灯の代わりに「御提灯代」として現金を包むといった形も知られています。呼び方も作法も地域差が大きいため、迷ったときは親族の年長者や地元の葬儀社に確認してください。
出典
