盆棚(ぼんだな)は精霊棚(しょうりょうだな)とも呼ぶ、お盆にご先祖さまをお迎えする棚です。飾り方は地域差がとても大きい領域。真菰やほおずき、精霊馬などの品目、迎え盆前に設けて送り盆で片付ける流れ、マンション向けの形を出典つきでまとめました。
盆棚(ぼんだな)は精霊棚(しょうりょうだな)とも呼ぶ、お盆にご先祖さまをお迎えするための棚です。真菰(まこも)のござを敷いた台に、位牌・お供え・水の子・精霊馬などを並べます。お盆の入り(13日)に間に合うように設け、送り火のあとに片付けます。ただし飾るものも並べ方も地域差がとても大きく、下は一例です。
この記事の要点です。
- 盆棚=精霊棚。呼び名が違うだけで同じもの
- 真菰のござ・竹と結界・ほおずき・位牌・お供え・水の子・精霊馬などを飾る(一例)
- 迎え盆(13日)に間に合うよう設け、送り火のあと16日ごろに片付ける
- マンションなど場所がない家は、仏壇の前に小さな机を置く簡易な形もある
- 浄土真宗は盆棚を設けない考え方
盆棚(精霊棚)とは。読み方と役割
盆棚は「ぼんだな」と読みます。精霊棚と書いて「しょうりょうだな」とも呼びます。浄土宗の公式サイトでも「精霊棚(盆棚とも)」と、ふたつの呼び名が並べて紹介されています。呼び方が地域で分かれるだけで、指しているものは同じです。
役割は、お盆に帰ってこられるご先祖さまをお迎えする場所を、家のなかに用意すること。仏壇とは別に棚をしつらえ、そこに位牌を移してお供えをする形が知られています。仏壇の前に机を置いて代わりとする家庭もあります。
初めて盆棚を用意する立場になると、「何をどこに置くのか」で手が止まりがちです。ただ、この領域は正解が一つに決まっているわけではありません。飾るものも並べ方も、地域・寺院・家によって驚くほど幅があります。この記事は浄土宗の公式サイトなどをもとにした一例として読んでください。
盆棚は地域差がとりわけ大きい領域です
盆棚の飾り方は、宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとの慣習によって大きく異なります。真菰を敷く家もあれば白布の家もあり、精霊馬を飾らない地域、水の子を蓮の葉にのせる地域とお皿にのせる地域など、細部は一様ではありません。この記事は浄土宗の公式解説などをもとにした一般的な一例です。自分の家のやり方は、親族の年長者や菩提寺(ぼだいじ・先祖代々お付き合いのあるお寺)に確認するのが確実です。
盆棚に必要なもの(一般的な例)
浄土宗の公式サイトでは、精霊棚に次のようなものを用意すると紹介されています。すべてを完璧にそろえる必要はなく、家にあるもので整える家庭も多くあります。
| 品目 | 役割(浄土宗の解説より) |
|---|---|
| 真菰(まこも)のござ | 棚の敷物。白布で代える家庭もある |
| 竹・縄 | 四隅に竹を立て、縄で結界を張る |
| ほおずき | 提灯に見立てて飾る |
| 位牌 | 仏壇から棚に移して安置する |
| お供物・生花 | 季節の野菜や果物、故人の好物など |
| 香炉・灯明 | 線香立てとろうそく |
| 水の子 | なすときゅうりを細かく刻み、米とともに水に浸したもの |
| みそはぎ(閼伽水・あかみず) | みそはぎを束ね、水にひたして添える |
| 精霊馬(しょうりょううま) | きゅうりの馬・なすの牛 |
真菰は、棚全体に敷くござです。その上に位牌やお供えを並べ、四隅に葉のついた青竹を立てて、上部に縄を張ると祭壇の形になります。
水の子は、なすときゅうりを細かく刻んで米と混ぜ、水に浸したお供えです。閼伽水(あかみず)は、みそはぎを束ねて水にひたしたもの。どちらも、帰ってこられたご先祖さまや、餓鬼道で苦しむ精霊への施しの気持ちを表すお供えとして知られています。
精霊馬(きゅうりの馬・なすの牛)は、ご先祖さまの乗り物に見立てた飾りです。作り方や意味の詳しい解説は精霊馬(しょうりょうま)の作り方にまとめました。お供え物全般の選び方はお盆のお供え物で説明しています。
盆棚の代わりに、あるいは盆棚とあわせて盆提灯を灯す家庭も多くあります。提灯の選び方や飾る時期は盆提灯(ぼんちょうちん)をどうぞ。
並べ方の一例(ご霊膳の向き)
並べ方に厳密な決まりはありませんが、浄土宗の公式サイトでは、ご霊膳(りょうぜん・一汁三菜の精進料理)の置き方が具体的に紹介されています。
- 手前に箸を置く
- 左手前にご飯、右手前に汁もの
- 左奥に和え物などの小鉢、右奥に煮物
そして、箸が仏さまのほうを向くように、お膳を半回転させてお供えします。食べる人(ご先祖さま)から見て正しい向きになるように、という考え方です。
供え物の向きを、お盆の期間中に変える慣わしもあります。メモリアルアートの大野屋の解説では、精霊が戻ってくる13日は内側に、あの世に戻る15日(16日)は外側に向けるという扱いが紹介されています。この向きの変え方も地域によって異なります。
いつ出していつ片付けるか
盆棚は、お盆の入り(迎え盆・13日)に間に合うように設けます。ご先祖さまをお迎えする前に整えておく、という順番です。
片付けは送り火のあとです。仏具店はせがわの解説では、片付けは送り火が終わってから行うため、お盆最終日の16日当日か、遅くなる場合は翌日に行うと案内されています。
- 設ける:お盆の入り(13日)に間に合うように
- 片付ける:送り火のあと。16日当日か、遅ければ翌日ごろ
7月盆の地域(東京や静岡の一部など)では、この日程が7月13日〜16日にそのまま前倒しになります。お盆そのものの日程はお盆はいつから?に、迎え火・送り火のやり方は迎え火・送り火はいつ?にまとめました。役目を終えた真菰やお供えの片付け方(お焚き上げに出すか、塩で清めて処分するかなど)は地域や寺院で異なるため、法要の際にお寺へ確認しておくと迷いません。
マンション・現代の住まいでの簡易な形
真菰のござを敷いて四隅に竹を立てる本格的な盆棚は、場所を取ります。集合住宅では、大きな棚を組むのが難しい家庭も少なくありません。
そうした場合の簡易な形も、いくつかの解説で紹介されています。メモリアルアートの大野屋の解説では、盆棚を設けるのが難しい場合は、仏壇に盆飾りをするか、仏壇の前や横に小さな机を置いて白布をかけ、そこに盆飾りをしてもよいと案内されています。仏具店はせがわの解説でも、経机や小さいテーブルを盆棚の代わりに使う人がいると紹介されています。
浄土宗の「精霊棚の祀り方」でも、基本の形として「お仏壇の前に脚の低い机を用意し、真菰でできたゴザ(または白布)を敷きます」と説明されています。大きな祭壇でなくても、小さな机に真菰か白布を敷き、位牌とお供えを整えれば、お迎えの場としては十分という考え方です。
飾るものを全部そろえられなくても、お迎えする気持ちがあれば形は簡素でよい。この点は、迎え火・送り火や精霊馬と同じで、無理なく続けられる範囲で整えるのが基本とされています。
浄土真宗は盆棚を設けない
同じ仏教でも、盆棚を用意するかどうかは宗派で分かれます。
浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、お盆を迎えるための特別な準備は必要なく、「精霊棚、施餓鬼棚もいりません」と案内されています。追善供養も必要ないとされ、亡き方への感謝とともにお念仏をとなえ、教えを喜ぶことを大切にする考え方です。浄土真宗ではお盆を「歓喜会(かんぎえ)」とも呼びます。
自分の家の宗派が浄土真宗の場合、真菰や竹をそろえる前に、まずお付き合いのあるお寺の考え方を確認しておくと、準備の無駄がありません。宗派による初盆の迎え方の違いは初盆(新盆)とはでも触れています。
FAQに答えきれない部分は、菩提寺へ
盆棚は、この記事で挙げた品目や向きが「唯一の正解」ではありません。真菰を敷くか白布か、水の子を蓮の葉にのせるかお皿か、精霊馬を飾るかどうか。細部は地域と家で驚くほど分かれます。
迷ったら、親族の年長者に去年までのやり方を聞くのがいちばん早い解決です。それも難しければ、菩提寺に「うちはどう用意すればいいですか」と尋ねれば、その家に合った形を教えてもらえます。形を完璧にそろえることより、お迎えする気持ちのほうが大切にされてきた、というのがこの行事の芯にある考え方です。
法事・法要全体の流れは法事・法要の基本ガイドにまとめています。
よくある質問
盆棚と精霊棚は違うものですか?
同じものです。盆棚(ぼんだな)を精霊棚(しょうりょうだな)とも呼びます。浄土宗の公式サイトでも「精霊棚(盆棚とも)」と両方の呼び名が並記されています。お盆にご先祖さまをお迎えするために設ける棚のことです。
盆棚にはどんなものを飾りますか?
浄土宗の公式サイトでは、真菰(まこも)のござ、四隅に立てる竹と結界の縄、ほおずき、位牌、お供物、香炉、灯明、生花、水の子、みそはぎ(閼伽水)、きゅうりの馬となすの牛などが挙げられています。ただし飾るものと並べ方は地域や寺院によって大きく異なります。
盆棚はいつ出していつ片付けますか?
お盆の入り(13日)に間に合うように設け、送り火のあとに片付けるのが一般的です。仏具店はせがわの解説では、片付けはお盆最終日の16日当日か、遅くなる場合は翌日に行うと案内されています。時期は地域や家によって異なります。
マンションで大きな盆棚を作れない場合はどうすればいいですか?
仏壇の前や横に小さな机を置き、白布や真菰のござを敷いてお供えする簡易な形が知られています。メモリアルアートの大野屋や仏具店はせがわの解説でも、経机や小さいテーブルを盆棚の代わりに使う方法が紹介されています。
浄土真宗でも盆棚を用意しますか?
浄土真宗本願寺派の公式サイトでは「精霊棚、施餓鬼棚もいりません」と案内されており、盆棚を設けない考え方です。実際の営み方はお付き合いのあるお寺に確認してください。
出典