精霊馬は、きゅうりの馬となすの牛でご先祖さまの乗り物を表すお盆の飾りです。ただし飾らない地域や宗派もあります。意味・向き・処分の目安と、割り箸で作る手順を出典つきでまとめました。
精霊馬(しょうりょううま)は、きゅうりの馬となすの牛で、お盆に帰ってくるご先祖さまの乗り物を表す飾りです。きゅうりで早く迎え、なすでゆっくり送る、という願いが込められているとされます。割り箸やつまようじを脚に見立てて作ります。ただし飾らない地域や宗派もあります。
この記事の要点です。
- 精霊馬=きゅうりの馬・なすの牛。ご先祖さまの乗り物に見立てた飾り
- きゅうり=早く来てもらう、なす=ゆっくり帰ってもらう(由来には諸説あり)
- 割り箸かつまようじを4本刺すだけで作れる
- お盆の入り(13日)に飾り、送り盆(16日)に片づけるのが一般的
- 浄土真宗など、精霊馬を飾らない宗派・地域もある
精霊馬とは(読み方・何のための飾りか)
精霊馬は「しょうりょううま」と読みます。きゅうりで作る馬を精霊馬、なすで作る牛を精霊牛(しょうりょううし)と呼び分けることもあります。
お盆に帰ってくるご先祖さまが乗る乗り物に見立てた飾り、というのが基本の考え方です。行きは足の速い馬、帰りは歩みのゆっくりな牛。二つを並べて、迎えと送りの両方を表します。
きゅうりとなすが選ばれる理由に、決まった一つの正解はありません。夏に手に入りやすい野菜だったから、という見方が広く知られています。この記事は一般的な例のご紹介です。
きゅうりが馬・なすが牛の意味
浄土宗の公式サイトでは、「お浄土から少しでも早く来てもらうためキュウリの馬」「帰りはゆっくり帰ってもらうという意味をこめてナスの牛」を、割り箸などを刺して作って飾ると紹介されています。
- きゅうりの馬 … 足の速い馬で、少しでも早く帰ってきてほしい
- なすの牛 … 歩みのゆっくりな牛で、名残を惜しみながらゆっくり戻ってほしい
なすの牛には、荷物を積める牛にお供え物やお土産をたくさん持たせて帰ってもらう、という意味を添える解説もあります。
由来には諸説あります。やしろの解説では、迎えと送りで役割を逆に考える見方があることにも触れられています。どちらが正しいと決めつけず、家やお寺に伝わる考え方を大切にすれば十分です。
精霊馬の作り方(割り箸・つまようじ)
材料は、なす1本、きゅうり1本、脚に見立てる割り箸かつまようじだけです。手順はごくシンプルです。
- なす(牛用)ときゅうり(馬用)を用意する。少し曲がった形を選ぶと、動物らしい姿になりやすいとされています
- 割り箸を折る(またはつまようじを使う)。1本の野菜につき脚は4本
- 前足の位置と後ろ足の位置に、2本ずつ脚を刺す
- 立たせてみて、バランスがとれていれば完成
やしろの解説では、割り箸を野菜の大きさに合わせて均一の長さに切ると座りがよいと紹介されています。小さなお子さんと作るときや、けがが気になるときは、先の丸いつまようじや、短く折った割り箸を使うと安心です。脚をハの字に開き気味に刺すと、倒れにくくなります。
飾る期間と向き
飾り始めと片づけの目安は、お盆の期間に合わせます。
- 全国的なお盆(8月盆)… 8月13日に飾り、16日に片づける
- 7月盆の地域 … 7月13日に飾り、16日に片づける
2026年のお盆は、全国的には8月13日(木)から16日(日)です。お盆そのものの日程や過ごし方はお盆はいつから?に、迎え火・送り火の日にちと焚き方は迎え火・送り火はいつ?にまとめています。
向きについては、迎え盆(13日)は頭を仏壇側(内向き)に、送り盆(16日)は頭を外向きに置きかえる、という飾り方が知られています。迎えるときは家の内側へ、送るときは外へ、と動きを表す考え方です。
いっぽうで、きゅうりの馬は内向き・なすの牛は外向きに固定して並べる例もあります。やしろの解説では精霊馬は内向き・精霊牛は外向きに置くと案内されており、小さなお葬式の解説では置き方は地域や家庭によって差があると案内されています。置く場所も、盆棚(精霊棚)の両端に置く家もあれば、お供え物の奥にまとめて置く家もあります。盆棚の飾り方は盆棚(精霊棚)の飾り方、お供え物の並べ方はお盆のお供え物で説明しています。
役目を終えた精霊馬の扱い(処分方法)
送り盆が済んだら、精霊馬は片づけます。もっとも広く紹介されているのは、次の方法です。
- 塩を振って清める
- 半紙などの白い紙に包む
- 燃えるごみとして処分する
このほか、お寺のお焚き上げに納める方法や、庭がある場合に土に埋める方法も知られています。ただしお焚き上げは、受け付けていないお寺・神社もあるため、事前に確認しておくと迷いません。かつては川に流す地域もありましたが、いまは環境や法令の面から控えるのが無難です。
役目を終えたなすときゅうりは食べずに処分します。真夏に数日間供えた野菜で、脚を刺した穴から傷みやすいためです。
精霊馬を飾らない地域・宗派
精霊馬は全国どこでも飾るわけではありません。地域によっては飾らない家もあり、宗派によっても扱いが分かれます。
代表的なのが浄土真宗です。浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、お盆を迎えるための「特別な準備」は必要なく、「精霊棚、施餓鬼棚もいりません」と案内されています。精霊馬もこの考え方に含まれ、飾らないのが一般的です。浄土真宗では、亡き方への感謝とともに仏さまの教えを聞く機会としてお盆を大切にする、という受けとめ方をします。
飾らないことが失礼にあたるわけではありません。地域や家、お寺の考え方に合わせるのがいちばん確実です。
地域・宗派・寺院による違い
精霊馬の意味・向き・飾る期間・処分の仕方は、宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとの慣習によっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺やお付き合いのある葬儀社に確認するのが確実です。
初盆で精霊馬を飾る方へ
亡くなって四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を、初盆(はつぼん)・新盆(にいぼん)と呼びます。初盆は白い提灯を飾るなど、いつものお盆と準備が変わります。精霊馬を飾るかどうかも、家やお寺の考え方によります。初盆の準備の手順は初盆(新盆)とはにまとめました。
お盆の飾りや過ごし方の全体像はお盆はいつから?から、法事・法要の基本は法事・法要の基本ガイドからどうぞ。
よくある質問
精霊馬はいつ飾りますか?
お盆の入りの日(全国的には8月13日、7月盆の地域は7月13日)に飾り始め、送り盆の16日に片づけるのが一般的とされています。ただし飾る期間や置き方は、地域や家の慣わしによって異なります。
きゅうりが馬で、なすが牛なのはなぜですか?
きゅうりの馬で少しでも早く帰ってきてもらい、なすの牛でゆっくり戻ってもらう、という願いを込めた飾りとされています。浄土宗の公式サイトでもこの意味が紹介されています。ただし由来には諸説あり、逆の意味に解釈する考え方もあります。
浄土真宗でも精霊馬を飾りますか?
浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、お盆を迎えるための特別な準備は必要なく、精霊棚もいらないと案内されています。精霊馬を飾らない考え方です。実際の営み方はお付き合いのあるお寺に確認してください。
役目を終えた精霊馬はどう処分しますか?
塩を振って清め、半紙などの白い紙に包んで、燃えるごみとして処分する方法が広く紹介されています。お寺のお焚き上げに納める方法もありますが、受け付けていない場合もあるため事前に確認してください。傷んでいるため食べずに処分します。
精霊馬の向きはどちらに置きますか?
迎え盆では頭を内側(仏壇側)に、送り盆では外側に向けて置く、という飾り方が知られています。ただし置き方は地域や家庭によって差があり、馬は内向き・牛は外向きに固定する例もあります。
出典